明秀日立が“真の強豪校”になるべく新たなスタート。サニックス杯で知った自分たちの現在地と無限大の可能性
守護神が4本中3本をストップ
その結果、3月13日から行なわれたサニックス杯国際ユース大会では目覚ましい結果を残した。昨季の2種年代で結果を残したチームが招待されるフェスティバルで、チームはプレミア勢やプリンス勢に互角以上の戦いを見せた。 予選リーグではプリンス九州2部の佐賀東に3-1で勝利し、プレミアWESTのヴィッセル神戸U-18にも1-0で勝ち切った。決勝トーナメントでは準決勝でプレミアWESTの大津に0-4で大敗したが、3位決定戦ではプレミアEASTの市立船橋にPK戦の末に勝利。相手は怪我人や高校選抜の活動に参加している選手が不在だったが、持ち前のパワーと組織力で対抗した。 3-1から終了間際の連続失点で追いつかれたのは反省材料だが、PK戦では重松が4本中3本をストップ。チームは勝負強さを示し、県新人戦からひと回りもふた回りも逞しくなって戦える集団に変貌を遂げた。 昨季は夏に全国レベルを知り、今季は開幕前に強豪校やJクラブの下部組織と戦えた。その経験を持ってシーズンに入れれば、自ずと求める基準は上がる。 今回のサニックス杯では、コーチングに工夫を凝らしたという。これまで伊藤真輝コーチがテクニカルエリアで指示を出し、萬場監督は後方からバックアップしてきたが、今大会は伊藤コーチが不在。指揮官は選手たちに答えをいきなり言うのではなく、考えさせるような声掛けを行なった。その理由について、こう話す。 「今まで僕は先頭に立っていたけど、去年は後方から見させてもらった。少し見方を変えられたので、彼らが自力で改善できるように働きかけるには、彼らの知恵を出させるようにしないといけないと感じた」 自立できれば、選手たちの成長スピードは一気に加速する。そうした取り組みも行ないながら、明秀日立はさらなる高みを目ざす。夏と冬の日本一はもちろん、プリンスリーグ関東2部昇格を果たすべく、挑戦を続けていく。 取材・文●松尾祐希(サッカーライター)