駅構内に残る国文化財の給水塔、撤去へ…蒸気機関車に水を供給
JR四国は、多度津駅構内に残る、蒸気機関車に水を供給するための給水塔(国登録有形文化財)を老朽化を理由に取り壊すことを決めた。13日、工事が始まった。 JR四国などによると、給水塔は1913年に完成。直径4・8メートル、高さ10・6メートルの円筒形で、れんが造りの土台の上に鉄筋コンクリート製の貯水槽がある。出入り口の上部などは一部に石も用いられ、凝った造りが特徴で、2012年に国の登録有形文化財となった。
だが、耐震性が不足して倒壊の恐れがあり、補修費用もかかることから、撤去する方針を決めた。香川県教委と協議した上で、文化庁に撤去を届け出て、9月に受理されたという。 13日は、作業員らが工事用の囲いを設置するなどした。解体を知って訪れたという宇多津町の60歳代女性は「四国の鉄道発祥の地といわれる多度津のシンボル的な鉄道遺産だったので、残念」と話し、写真に収めていた。 撤去は12月中旬頃までに完了する予定。文化庁に報告後、文化財としての登録は抹消されるという。JR四国は町などからの要望があれば、撤去したれんがの一部譲渡などを検討するとしている。