子の才能の発見者である親がやってはダメなこと 親は子どもが生まれて初めて出会う人間である
母親なら誰でも、幼いわが子を見て日に何度も感心するだろう。寝ているだけだった子どもが、寝返りを打ったり、声を出すようになったりするだけでも感嘆する。「うちの子、もしかして天才かも?」と思ったことのない母親は、多分いないだろう。子どもが成長するにつれて見せてくれる才能に、母親は驚きを隠せない。私もそんな平凡な母親だった。 心理学の用語に「ローゼンタール効果」というものがある。人から関心を向けられるとよい結果を得られるという、ハーバード大学のロバート・ローゼンタール教授が提唱した理論で、「ピグマリオン効果」とも言われる。
ローゼンタール教授はサンフランシスコのある小学校で、全校生徒を対象に知能検査を実施したあと、各クラスから無作為に20%の生徒を選抜した。その後、そのリストを教師たちに渡し、この子どもたちの知能が高いと伝えた。それから8カ月後に再び知能検査を実施したところ、驚くべきことにリストに入っていた子どもたちの平均点が他の子どもたちよりも高かったのだ。教育者の賞賛や励まし、期待が子どもに肯定的影響を与えることを裏付けるものだ。
この結果は逆に、教育者からの否定的な視線やメッセージは子どもにネガティブな影響を与える可能性があることを暗示してもいる。子どもの才能の発見者であり教育者である母親も、これと同じ影響を与えることができるのだ。 ■肯定的なメッセージを絶え間なく伝えてあげる ある教育学者によれば、子どもは白紙の状態で生まれるという。だから白紙である子どもの脳は、親の教育次第でどうにでも変わるそうだ。また別の教育学者は、子どもは白紙状態ではなく、遺伝的に特定の気質を持って生まれるともいう。
この2つの主張のどちらが正しいかはともかく、親が子どもにとって「肯定的自己像」を作り上げる存在であることは明らかだ。「あなたは特別な子だよ」「ママはあなたのことが大好き」「みんなもあなたを好きになるはず」「頑張れば何でもできるよ」といった言葉を、子どもの心の底に届かせるのだ。 そうやって親からの肯定的メッセージを、子どもに絶え間なく伝えてあげよう。ローゼンタール効果を知らなくても、日常的に肯定的な言葉を聞いて育った子どもが高い自己肯定感を持った人に育つ事実はよく知られていることだ。