ドローンで与路島へ初臨時輸送 瀬戸内町 定期船欠航、給食食材や新聞届ける
鹿児島県瀬戸内町と日本航空(JAL)が共同で設立したドローン運航会社「奄美アイランドドローン」(本社瀬戸内町、登島敏文代表取締役、以下AID)は12日、海上悪天候の影響で欠航・抜港が続く定期船「せとなみ」に代わり、与路島へ与路小中学校の給食食材や新聞などを載せた臨時3便を運航した。非常時の緊急輸送は初。今後、平時と非常時の垣根をなくす「フェーズフリー」型の物流インフラの構築、住民サービスの充実を加速させる。 AIDはヤマハ発動機「FAZER RG G2」のドローンを導入し、2024年2月から二次離島(加計呂麻島、請島、与路島)へ医薬品や給食食材等の日用品、新聞などの定期輸送を行う他、災害時に孤立集落等へ救援物資を届ける住民向けサービスを開始した。 現在、瀬戸内町から約1300キロ離れたJAL本社(東京都)の基地局から遠隔操作で運航しているが、非常時にも迅速に対応するため、年度内にも基地局を同町へ移転。将来的には、ドローンの運航管理や安全管理、操縦者もすべて地域人材が担うことを目指す。 今回の臨時輸送は、9日午後便から欠航などが続く与路島への物資輸送要請を受けて実施。13日の与路小中学校の給食用デザート(スイートポテト)をはじめ、台風13号の襲来を見込んで来週分のキャベツや冬瓜、卵、ベーコンといった給食食材、住民への新聞など約24キロの物資を3便に分けて届けた。 町立学校給食センター主幹の有田伸之さん(61)は「台風襲来時はいつも(手配などに)神経を使う。あすの給食で提供するデザートが無事に届き、子どもたちも喜んでくれると思う」と胸をなで下ろした様子。 食材を受け取った与路小中学校の養護教諭で給食担当の新町綾音さん(24)は「児童生徒たちは献立表を見て給食を楽しみにしている。特に、あすは大人気の鶏飯の日で、デザートまで全部がそろって本当に良かった」と話した。
奄美の南海日日新聞