ANA・JAL“顔パス”搭乗、スマホで手続き短縮 成田で実証実験
全日本空輸(ANA/NH)と日本航空(JAL/JL、9201)、成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)、日本電気(NEC、6701)の4社は5月10日、国際線で導入済みの顔認証技術を用いた“顔パス(ウォークスルー)”の搭乗手続き「Face Express(フェイスエクスプレス)」について、旅客自身のスマートフォンで個人情報を登録する実証実験を展開したと発表した。現在は空港内の端末でのみ登録が可能で、空港での手続き時間の短縮を実証した。 【図】「Face Express」の利用フロー 個人情報はモバイルアプリ上で登録する。航空各社のモバイルアプリと連携することで、オンラインチェックインからFace Expressの個人情報登録までをワンストップでできるようにする。登録した個人情報はモバイルアプリで旅客自身が管理。繰り返し利用可能で、次回以降の搭乗でも手続きを簡略化できるようになる。 実証実験は3月25日から28日まで、4社の関係者ら約150人が参加して進めた。参加者はモバイルアプリでFace Expressを利用登録後、手荷物預け、保安検査場入場、搭乗ゲート通過などの搭乗手続きを体験した。任意のタイミングや場所での登録により、空港でのチェックイン時間短縮や、空港スタッフの業務負担軽減にもつながった。一方で、ユーザーインターフェースの改善や、モバイルアプリへの誘導方法などの課題も見つかった。 またFace Expressを使用しない従来の手続きと比較すると、手荷物タグの発行など自動チェックイン機操作の所要時間が半減。手荷物預けでは搭乗券とパスポートの提示が不要となるなど、時間短縮を確認できた。 成田空港の運用状況によると、2023年度の国際線旅客は2744万人で水際対策の撤廃を受け大きく増加。新型コロナ前の8割超えまで回復した。このうち外国人客は1789万人で、開港以来の過去最高を記録した。空港では手続きの効率化や旅客の利便性向上など、オンラインでの搭乗手続きのニーズが高まっており、航空業界全体でもデジタル化が求められている。4社は今回の実証実験を通じ、モバイルアプリの実用化へ改善・検討を進め、Face Expressの利用拡大につなげたい考え。
Yusuke KOHASE