WBC侍Jの日本人メジャー投手全滅濃厚 辞退の是非を問うべきか?
WBCでの2大会ぶりのV奪回に挑む侍ジャパンへのメジャーリーガー投手の参戦は、ほぼ全滅となることが濃厚になった。ストッパーに期待されていたカブスの上原浩治が、年末に「本当に悔しい思いがありますが、カブスの一員になったわけでチームの社長、GMから、あまり出てほしくない旨を言われたら仕方ない」と辞退を表明、先日、ドジャースの前田健太に関しても米国発の辞退ニュースが飛び込み、レンジャースのダルビッシュ有も、現地での球団イベントでのコメントを現地メディアが取り上げる形で、「トミー・ジョン手術後(2年目)は、リスクが大きすぎる」という理由で正式辞退することが伝わった。 まだ正式辞退が明らかになっていないヤンキースの田中将大、マリナーズの岩隈久志、マーリンズの田澤純一の3人の参加も絶望的で、侍ジャパンは2大会続けて日本人メジャー投手抜きの“純国産組”で戦わねばならなくなった。投手力が侍ジャパンの世界に通じる長所だけに、ベスト布陣を組めないのは厳しい状況だ。 なぜメジャー投手のWBC出場は、全滅濃厚となったのか。上原などは「申し訳ない」ともブログで発言しているが、謝る必要などあるのか、その辞退の是非を問うべきなのか? 背景には、メジャーの契約システムと、チームでの立場、それぞれの選手が多かれ少なかれ故障の不安を抱えているという問題がある。一昨年オフにドジャースに移籍したマエケンは、身体検査で異常が判明して、異例とも言える出来高重視の契約となった。岩隈も、その年、先にドジャースと契約寸前までいきながら同じく身体検査が通らずにマリナーズと再契約を結んだという事情がある。ケアをしっかりと行えば不安はないが、球団サイドからすれば、一度でも、肩、肘に異常が発生した投手に無理をしてもらいたくはない。ダルビッシュは、2年前にトミー・ジョン手術を終えているだけになおさらである。 しかも、16勝したマエケンは、ド軍でカーショーの12勝より上の勝ち頭。同じく16勝の岩隈もチーム最多で199回も登板しているエースゆえ、立場上、チームが万全を求めるのは当然だ。 加えてメジャー特有の契約の体系が背景にある。 昨年14勝4敗、防御率3.07のマー君は、2013年オフにポスティングでヤンキースに移籍した際、7年1億5500万ドル(約170億円)という大型契約でサインした。今季は4年目。球団として、巨額な投資額を回収するまで、決して故障離脱はさせたくない。右肘に異常が見つかった過去もある。 そして今季を終えると自らの意思でFAになれる「オプトアウト」という契約を結んでいるため、その権利を行使した後にさらに好条件の契約を勝ち取るためには、今季の結果が非常に大事であり、球団だけでなく、代理人サイドも、オフの評価につながることのないWBCに強行出場することなど好まない。ダルビッシュもまた今季オフにFA権利を得る状況にある。