島田紳助さん『M-1』へのメッセージで見えた“変節”大会創設時の“ピリピリ感”は消滅し「夢の舞台」へ
12月22日に放送された『M-1グランプリ2024』(朝日放送制作、テレビ朝日系)の冒頭、大会創設者で2011年に芸能界を引退した島田紳助さんのメッセージが紹介された。 【画像あり】若返ってると話題になった「68歳の島田紳助」 メッセージの内容は、島田さん直筆の字で《いつまでもM1が夢の入口でありますように》というものだったが……。 放送後には、X上に《「あんた若手芸人を諦めさせるためにM-1作ったんちゃうんか!?」と心の中で島田紳助氏にツッコミを入れた》《夢の入口にいつなったん?》《「夢の出口」だったはず》との視聴者の感想が溢れていた。 以前まで広く知られていた『M-1』のコンセプトと島田さんのメッセージに矛盾があるのだという。放送作家はこう話す。 「島田さんが事実上の“プロデューサー”として立ち上げた『M-1』の当初の出場資格はコンビ結成10年以内に設定されていました。それは、区切りを設けることで売れない芸人に諦めをつけさせ、違う道を探させようという島田さんの“親心”のような思いがあったからです。 つまり『M-1』はスターを発掘するためだけでなく、『芸人を辞めさせるための大会』でもありました。今回の島田さんのメッセージとは真逆なのです。そのため、戸惑いを覚える視聴者が多かったのでしょう」 2011年~2014年の空白期間を経て2015年に『M-1』が再開されると、出場資格は芸歴10年以内から15年以内に拡大された。「これによってベテラン芸人の活躍が目立つようになった」と前出の放送作家が続ける。 「2017年に優勝したとろサーモンは芸歴15年めのラストイヤーで快挙を成し遂げ、2019年のミルクボーイは芸歴12年、2020年のマヂカルラブリーは13年、2022年のウエストランドは14年です。 2021年の錦鯉は芸歴は9年めでしたが、ボケの長谷川雅紀さんは優勝時に50歳で歴代最高齢の優勝者となりました。さまざまな芸人ドラマが生まれるようになりましたが、当初の島田さんのコンセプトからはズレてきているのは事実でしょう」 かつての『M-1』といえば、漫才師以外の審査員も多く、ピリピリとした雰囲気が醸し出されていた。 「2002年大会の立川談志さんによる辛口採点は話題になりましたし、松本人志さんと島田さんという芸人界の“トップ”が並び立つ形とあって、漫才師たちもスベりを恐れてかなり緊張していました。固くなっていたためか、現在ほど観客にウケる漫才師は多くなかった印象です。 しかし、近年は番組側が放送前の前説などに力を入れ、観客の反応はよくなっています。また、今回から審査員全員が現役の漫才師となったこともあり、出場者にとって『夢の舞台』『日本一決定戦』という印象が強くなっているはずです」(前出・放送作家) 20年も経てば、創設者の考えも変わるのだろう――。