性格は「身体の健康」にも影響、6つの性格特性とその関係を心理学者が解説
HEXACOモデルは、人間の性格を6つの因子に分けて概念化しようとする人格構造モデルだ。各因子はその人の特性を反映し、健康維持や自己管理の能力などさまざまな行動に影響を及ぼしている。 学術誌のヨーロピアン・ジャーナル・オブ・パーソナリティに掲載された2023年の研究では、それぞれの性格を表す因子「ビッグシックス」が以下の3つの健康分野にどのような影響を及ぼすかを調べた。 ・精神面の健康:幸福感や積極性、満足感、高い自己肯定感といったポジティブなものだけでなく、うつや負の感情、人間関係の問題、ストレス、そして不安や依存症、気分障害や人格障害といったものを抱え込みやすいというネガティブなものも含まれる ・身体の健康:身体の状態に加え、体力や病気の診断(がんなど)、総合的な死亡リスクの指標も含まれる ・健康志向の行動:定期的な運動のような健康を促進する行動や、健康を悪化させる行動、そして薬物の使用や賭博、攻撃、安全でない性行為といった危険な行動など、健康に影響を与える行動が含まれる 研究で示された6つの性格特性が健康に及ぼす影響は以下の通りだ。 ■1. 正直・謙虚さ(H) この因子は、誠実さや公正さ、貪欲回避、謙虚さに関連する特性を捉えている。正直・謙虚さのレベルが高い人は誠実かつ忠実で、自分の利益のために他人を利用したりはしない。欲張らず、自分の業績に対して謙虚だ。また、自分の過ちを認めることができ、物などの所有を過度に追い求めたり他人の富をねたんだりはしない。 正直・謙虚さが身体の健康に及ぼす影響は限定的だ。これはおそらく運動や食事のような身体の健康の維持につながる習慣よりも、逸脱した行動を控えるという道徳的な意味合いのある習慣とより強くつながっているからだ。 興味深いことに、正直・謙虚さは賭博や薬物の乱用、危険な性行為を避けるといった健康に関連した行動と強くつながっている。このことは、向社会的な性質が自己制御や倫理的な意思決定を促し、間接的に健康に良い影響を与えていることを示唆している。 また、この特性は向社会的な行動と関連があり、欺瞞や搾取とは関わりが薄いことから人格障害のリスクは低めだ。