免許返納、60代以上の約8割が「返納予定なし」 理由は「運転能力に問題ない」が最多 <アンケート>
もし返納させた場合に起こりうる不都合について尋ねると、「日常生活(買い物など)」が最多の83.3%で、「通院」の69.8%とともに、“日常の足”に困ることを懸念していることをうかがわせる結果となりました。
●賛否両論「免許失効の法制度を」「若い人も事故を起こしている」
自由回答で、免許返納に対する70代以上の回答者の意見として、以下のようなものがありました。 【返納したor返納予定の人の意見】 「判断能力の衰えを自覚しないで運転を続けるのは自分勝手。免許の自主返納に期待するよりも、運転能力テストで一定点数に満たない高齢者は免許を失効させる法制度が必要」(70代男性) 「今まで免許証を身分証明のために使用していたが、マイナンバーカードの存在もあり更新しない判断の一因となった」(70代男性) 「公共交通機関が利用できない区域ではタクシー代が負担になる。地方都市では返納のデメリットが多く、返納が早すぎたと後悔しきり」(70代男性) 【返納していない(返納予定なし)人の意見】 「個人差が大きい運転能力について、年齢でひとくくりにするのには反対」(70代男性) 「運転しなくなると、逆に認知機能が低下する」(70代男性) 「高齢者の免許証更新の実技が甘すぎる」(70代男性) 「過信なく自らの現在の状況を認識していれば、ある程度の高齢になっても運転可能だと思う」(70代男性) 「若い人も事故を起こしている事を忘れてはならない。車の安全装置で安全を確保する事が大切」(70代男性) 「近い将来、自動運転の車が普及した場合に備えて持っておこうと思う」(70代男性)
●交通問題に詳しい平岡将人弁護士のコメント
75歳以上の高齢者運転による死亡事故件数は、割合的に75歳未満の2倍以上の発生件数であり、原因もハンドルやブレーキの操作ミスの割合は75歳未満のおよそ2.7倍となっています(2023年度)。警察は、高齢者の免許の更新の際に認知機能検査等を行うことに加え、75歳以上の免許保有者に一定の違反行為があった場合に、臨時認知機能検査等を受けさせるなどの対策をしています。 現在は、免許の自主返納については、移動の代替手段がない場合に生活の質を下げることになり、返納を強く勧めるのも難しいところです。そのなかで、今回のアンケートで運転能力に衰えを感じて自主返納したとの回答が多いことに驚き、素直に尊敬しました。 高齢ドライバーが事故を起こしてしまうと、被害者の苦痛は言うまでもありませんが、加害者となった高齢者も、人生の最後の大切な時間に重荷を負ってしまうことになります。 日々、安全運転を心がけてほしいと思います。