元C-C-B田口智治被告に懲役2年6か月求刑 「愛猫の死」落ち込む気分を紛らわすため“覚醒剤”使用
今年6月、自宅で覚醒剤を所持したなどとして覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕・起訴されたロックバンド「C-C-B」の元メンバー田口智治被告(63)の初公判が、9月2日東京地方裁判所で行われた。田口被告は起訴内容をすべて認め、裁判は即日結審した。 【法廷画】裁判官と向かい合う田口被告
頭を丸め起訴内容認める
1980年代に『Romanticが止まらない』などのヒット曲で一世を風靡(ふうび)した後に解散したロックバンド「C-C-B」でキーボードを担当していた田口被告。2015年と2016年にも覚醒剤取締法違反(所持)に問われ、いずれも横浜地方裁判所で執行猶予付きの有罪判決が下されている。 田口被告にとって3度目となった今回の裁判は東京地裁で行われ、傍聴券を求め多くの傍聴人が詰めかけた。グレーのTシャツと長ズボンに靴下、青いサンダルといういでたちで出廷した田口被告は、一時は長く伸ばしていたこともある頭をまるめていた。 公判の冒頭で「耳が遠いので大きい声で話しかけてほしい」と田口被告が依頼。それを受けて、検察官や裁判長が「聞こえていますか」「もう一度いいましょうか」など被告人に確認する姿が何度か見られたのが印象的だった。
「飼い猫の死」落ち込む気分を紛らわすために…
起訴状によると、田口被告は今年6月17日頃、足立区内の自宅で覚醒剤を使用。さらに、18日には覚醒剤約0.5グラムを所持したという。 「起訴内容に間違いがないか」と裁判官に問われた田口被告は、かすれつつもはっきりとした声で「はい」と答え起訴事実をすべて認めた。 その上で、再び覚醒剤を使用したきっかけについては、「飼い猫の交通事故死」と説明。 室内で飼っていた猫が屋外に出てしまい、数日後に自宅近くで発見した際に捕まえようとしたらさらに逃げ、車にはねられたという。つらい気分の時に「知人から覚醒剤使用を持ち掛けられ、落ち込む気持ちを紛らわすために使用してしまった」(田口被告)。 証人尋問には近所に住んでいるという田口被告の親族も参加。「家が近いので今後は定期的に様子をのぞきに行く」などと話した際には、田口被告も小さくうなずき、尋問を終えた際にも軽く会釈を交わしていた。 また、今回の逮捕について、田口被告のもとにはC-C-Bで共に活動していた関口誠人氏からも連絡があったといい「心配をかけてしまった」と肩を落とした。 一方で、今後麻薬に手を染めないためにするべきことについては“じょう舌”に語った田口被告。 「ひとりで抱え込まずに周りにも助けを求められるようにする」「つながりがあった売人にも毅然(きぜん)とした態度で『麻取(麻薬取締官)に通報する』と言い寄せ付けないように関係を絶つ」「携帯を変える」などの対策を講じるといい、検察の問いかけに対し麻薬捜査の協力要請があれば応じるとも宣言した。
検察「覚醒剤をめぐる人間関係、断ち切っていない」指摘
検察側は「覚醒剤をめぐる人間関係を断ち切らず常習性が認められ、再犯に至る可能性も高い」などとして、懲役2年6か月を求刑。一方の弁護側は「反省し、二度と薬物を使用しないことを誓約している」として執行猶予付き判決を求めた。 判決は今月17日に言い渡される予定だ。
弁護士JP編集部