トップクリエーターから見た縦型動画の可能性【SENSORS】
■映画やテレビドラマの手法を若者に引き継いでいけるか
スマートフォンとSNSを活用して、どんな人でも動画クリエーターになれる時代。関さんは、昨今の動画メディアの発展について次のように捉えているという。 「新しい動画メディアや、新たな映像制作のあり方が、自分が想定していなかったようなところから突如現れてくる状況が、面白いですよね。若手の縦型ショート動画クリエーターたちの作品を数多く見ていて、色、情報、表現、動画編集テクニックなど、さまざまな要素が短い尺の間に、おもちゃ箱のように詰まっているのが、とても楽しいと思っています。頑張れば誰でも、新たな動画表現にチャレンジできるようになっているんです」 関さんが述べた縦型動画独特の表現について、上田さんは次のように続ける。 「コンテンツの密度が高い、いわば足し算の表現が多くなってきている印象もあります。しかし逆に引き算、間合いで見せるなど、劇場映画やテレビドラマで使われる手法を、今後いかにTikTokなどに持ち込んで、若者にも引き継いでいけるか。このような課題も、同時に考えなくてはならないと思う部分もあります。動画コンテンツや表現方法を通じて、視聴者が飽きない工夫も、これからの映像クリエーターには必要ではないでしょうか。私は、新たに登場したメディアやテクノロジーにどんどんチャレンジしていきたいと考えています。SNSの投稿者の皆さんに『負けないぞ!』という気持ちで、これからも挑戦を続けていきたいです」 縦型動画という新しい動画フォーマットが生まれたことで、動画の視聴習慣は変化した。それに合わせて新しい表現手段やビジネス手法を模索することで、クリエーターにとっての新しい道が拓かれるのかもしれない。