トップクリエーターから見た縦型動画の可能性【SENSORS】
「縦型のフォーマットは、画面に盛り込むことのできる情報量は少ないのですが、ポートレートのように、メインの被写体に関する情報量は多くなるように感じます。現状、縦型のデバイスと言うとスマホがメインですが、デバイスが大きくなれば、風景を撮っても非常に綺麗に映えるかもしれない、と考えています」 日清食品カップヌードル「hungry?」シリーズや、サントリー「燃焼系アミノ式」など数々の有名CMを手掛けてきた、CMディレクターの中島信也さんは、縦型のCMを見て次のように感じているという。 「登場人物との距離感が、まるで目の前にいるかのように、とても近くに感じます。たとえば、アイドルやタレントのファン視点でより親近感がわき、横型のCMと違ってよりパーソナルな関係を構築できるような印象を受けています」
■SNS時代のクリエーターの生き方
クリエーターが活躍可能なフィールドや、マネタイズの仕方も変わってきている。従来の動画クリエーターは、クライアントから案件を受けなければ、大きな収入は望めなかった。しかし今は、個人がSNS上で作品を発表することで、利益を得られる時代を迎えている。SNS時代の映像の作り手に向けて、上田さんは次のようにアドバイスする。 「たとえば、TikTokで縦型映画に特化したアカウント運営をするとしたら、アカウントの特色、自分の十八番を明確にして、勝負に出るのが良いと思います。たとえば、このアカウントを見に行けば恋愛ドラマが見れる、ホラー映画が見れるといった状況を作り出すことです」 中島さんは、企画やネタの重要性を強調する。
「動画のクオリティーよりも、そもそもの企画自体が面白ければ、周りの誰かに紹介したくなります。面白い切り口をどれだけ探し出せるか、という時代になっていくのではないでしょうか」 上田さんも、アイデアが重要という点に関して次のように続ける。 「1つの小さなアイデアを100にふくらませる部分は、生成AIの役割になっていくような気がしています。ゼロからイチを想像するという、人間にしかできない部分で力を発揮することが、より重要になってくるのではないでしょうか」