100%を求めるのは「高望み」 VAR廃止には「反対」、VARと主審に求めたい“裁量”【前園真聖コラム】
VAR導入による試合時間の延長はテレビ放送に影響
イングランドでビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)に対する不満が表面化した。プレミアリーグ所属のクラブがVAR廃止を提案して、議論されることになったのだ。プレーを公平に裁くために導入されたはずのVARがなぜ反感を持たれてしまったのか。そしてVARは今後も存続すべきなのか。元日本代表MF前園真聖氏に意見を訊いた。(取材・構成=森雅史) 【動画】前代未聞の「大誤審」 選手たちが即反応、Jリーグで起きた「ありえない」瞬間 ◇ ◇ ◇ イングランド1部プレミアリーグでビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の廃止が検討されています。ウォルバーハンプトンがリーグにVAR廃止の決議案を提出し、6月6日に採決が行われることになりました。 VARはさまざまな利点とともに問題点も指摘されています。 まず、レフェリーによる見落としや見間違いがなくなったことが最大のメリットでしょう。どうしてもレフェリーから見えないプレーをビデオカメラが代わりに見てくれます。また、何度も見返すことができるのでより正確性を上げることができます。 一方で、VARが介入することでゲームが止まります。ボールがゴールに入るたびにVARのチェックが行われるので、実施前のゴールに入ってすぐにスタジアムが沸く場面が、一度間を置いてからの歓声に変わるようになりました。そのため感動の瞬間が一瞬遅れます。 さらに、アディショナルタイムが長くなります。2022年のカタール・ワールドカップ(W杯)の頃はアディショナルタイムが7分というとずいぶん長く感じられましたが、今はだんだんそれが普通になってきて、5分でも短く感じられるようになりました。 これは実はテレビ放送に影響するのではないかと思います。前後半で10分ずつアディショナルタイムがあることも想定して放送枠を決めなければいけなくなるでしょう。サッカーは時間が来れば試合が終わるという、本来放送に向いているスポーツだったのですが、少し考えを変えなければいけなくなりました。