大阪で築86年「長屋再生プロジェクト」地域交流拠点のモデルに
地域交流拠点としてリノベーションするプロジェクト
大阪で築86年「長屋再生プロジェクト」地域交流拠点のモデルに
日本の各所で古い長屋や古民家の再生プロジェクトが行われている。そんな中、「近畿大学」(大阪府東大阪市)建築学部の建築研究会が、同大学最寄駅である近鉄長瀬駅前の古い長屋を再生し、地域交流拠点としてリノベーションするプロジェクトを進めている。そんな中、完成した1階サロン部分の内覧会が実施されたので、ちょっと覗いてみた。
今年1月から工事を始め1階サロン部分が完成
「長瀬近大通り長屋再生プロジェクト」は、東大阪市の地域まちづくり活動助成金に採択されたもので、学生が中心となって運営し、地域活性化に貢献しようというものだ。 築80年以上の長屋は2階建て。東側1階はイベントスペース付きの交流サロン、西側1階及び2階は学生用住宅になる予定だが、まだ工事中。5月末の完成を目指している。 東大阪市の近鉄長瀬駅周辺には戦前から存在する古い建物が現存しており、本プロジェクトは長屋のオーナーが老朽化する長屋の活用について建築学部准教授の寺川政司氏に打診をし、再活用の検討が始まったものだという。 建物は1930年(昭和5年)にできた長屋で、かなり老朽化していたが、地域交流拠点としてリノベーションする「長屋再生プロジェクト」に昨年5月から取り組み、今年1月から工事を始めてようやく1階サロン部分が完成した。 なお、建築研究会は建築学部の学生で構成されており、現在部員は119名。建築の社会的意義や役割を意識した研究で、社会参画を図ることを目的とし、学生が実践的に建築を学ぶ機会を創出している。同プロジェクトには16人ほどがかかわりを持っているという。
地域の空き家再生プロジェクトのモデルケース
同プロジェクトのリーダー浅井駿平さん(近大4回生)はこう話す。 「地域の空き家再生プロジェクトのモデルケースです。空き家はそのまま置いているだけで税金がかかりますから。少子高齢化社会で、新しい家を建てることも減っているんじゃないでしょうか。空き家をどう再生していくかは、全国的にも進んでいると思います。プロの左官さんとかにお願いし、それを手伝う形で、僕たち学生も工事に参加しています。築86年の物件で、思った以上にぼろぼろでしたから、けっこう大変でした」
こうした取り組みは学生たちにとっても将来的に役立つもので、地域の活性化にもつながる。「子どもたちや子育て支援のためのイベントや交流会、地域の方が楽しめる催し、学生と地域の方が交流できるイベントなど、今後の活用についても考えています」(浅井さん)という。 (文責/フリーライター・北代靖典)