建設業の深刻すぎる「人手不足」解消に必要なこと…「一括請負方式」の生産システムを見直せるか
建設業でも、10年後、20年後を予測して「あるべき将来像」を模索する必要があるだろう。建設生産システムの効率化を進めることを建設業界だけで実現するのは難しい。物流では国が「荷主」に努力義務を課したように、建設でも「発注者」が重要な役割と責任を果たす必要があるだろう。 ■コンビニ店舗の工事はITを活用 JM(大竹弘孝社長)は、25年前から建物の小口修繕サービスを提供しているが、事業化のきっかけはセブン-イレブン・ジャパンの鈴木敏文会長(当時)への提案だった。2001年から全国約9000店(当時)の建物診断サービスを展開し、店舗の施設・設備が不具合なく、営業が継続できる状態を維持できるように保守メンテナンスを行ってきた。
その後、日産自動車・出光興産・佐川急便など多くの企業と業務提携し、建物の保守メンテナンスや小規模工事を展開。電気自動車の販売に欠かせない充電器の設置では、日産と提携して、設置基準を定め、メルセデスベンツ・BMWなどとも提携している。 最近ではPPP(官民連携)プロジェクトとして静岡県の函南町・伊豆の国市の河川公園の受託や、埼玉県鴻巣市・ふじみ野市・和光市・静岡県伊豆市・愛知県豊明市・宮崎県宮崎市・東京都国立市などの公共施設の包括管理の受託も増えている。
JMのビジネスモデルは、物流分野で活発化している共同配送の考え方を先取りしたものと言えるだろう。コンビニ店舗では、建物の保守メンテナンスに加えて、商品やサービスの入れ替えなどで設備や店舗レイアウトの改修工事が発生する。そのたびに工事見積もりを取って施工業者を選定し、全国の店舗でスケジュール通りに工事を実施するのは管理が大変だ。 企業はJMの保守メンテナンスのプラットフォームを共同利用することで、計画的に施設の維持補修を進めやすくなる。JMでは登録している技能労働者を適切に配置することで工事の効率化を実現できる。技能労働者は安定的に仕事が発注されることで安定した賃金が得られる。JMでは、このプラットフォームを最先端のITを活用することで実現、進化させてきた。