建設業の深刻すぎる「人手不足」解消に必要なこと…「一括請負方式」の生産システムを見直せるか
1990年代までは建設需要が拡大し、労働人口も増えて供給側も十分な施工能力を確保できた。しかし、2000年代に入って建設需要の減少に合わせて建設技能労働者が減少し、従来の一括請負型のビジネスモデルでは、需要の変動に供給側が柔軟に対応するのが難しくなってきている。 ■トラックドライバーが不足する物流業界の取り組み 物流業界でもドライバーの時間外労働規制が2024年から導入され、輸送能力不足が顕在化する懸念が高まっていた。経済産業省は2021年に「物流のあるべき将来像」を検討するため「フィジカルインターネット(PI)実現会議」を設置した。
PIの原型は、1980年代に米GMとの合弁工場にトヨタ自動車が持ち込んだ物流システムと言われる。それをキッカケに欧米ではサプライチェーンに関する研究が進み、2010年頃に研究者らによってPIの概念が提唱され、欧州では2013年に専門機関も設立されて取り組みが始まっている。 ロードマップでは、2027年にトラックドライバーが24万人不足し、2030年には約36%の荷物が運べなくなるなどと予測。ドライバーの賃金アップと働き方改革で人材確保を図りながら、物流システム全体の効率化を進める道筋を示した。積載率40%のトラック輸送効率を高める共同配送の推進、荷待ち時間削減に向けて荷物をまとめるパレット(荷台)の標準化、物流施設での自動搬送ロボットの導入やトラックバース予約システムの普及などを進めていく。
今年4月に成立した改正流通業務総合効率化法・貨物自動車運送事業法では「荷主」に対して物流効率化に取り組む努力義務が課せられ、一定規模以上の特定荷主には「物流統括管理者=CLO(チーフ・ロジスティック・オフィサー)」の設置も義務付けられた。 今後はPIの実現に向けて、企業や業界を横断して共同配送を実現するシェアリングルールの確立、多種多様な物流データの業界横断プラットフォームの構築、自動運転トラックやドローンなどの実用化などに取り組んでいく。