「党内融和」へ調整力発揮なるか 森山裕氏が自民党幹事長に就任 地元・鹿児島4区は党ナンバー2の活躍に期待「地方の時代来る」
自民党の森山裕前総務会長(79)=衆院鹿児島4区=が30日、党幹事長に就いた。県関係では故・二階堂進氏以来で、国会対策委員長など多くの要職に就き党務に精通する手腕を買われての抜てきとなった。総裁選による摩擦への対応や、解散・総選挙も間近に控え早くも調整力の発揮が求められる局面だ。会見では「党内融和に十分配慮する」と決意を語った。 【写真】記者会見後、写真撮影に応じる森山裕氏(左から2人目)ら党4役と菅義偉副総裁=30日、東京・永田町の自民党本部
衆院議員会館内の事務所には朝から祝電やコチョウラ ンが続々届き、秘書らは多数の来客対応に追われた。午後1時、呼び出しを受けた森山氏は硬い表情で総裁室入り。総務会で幹事長就任が決まると「石破総裁を支え安定した党運営に努める」とあいさつした。 鹿児島市議から国政に転じ、財務副大臣や農相を歴任。安倍・菅政権では国対委員長を歴代最長務め、与野党に幅広い人脈を持つ。 岸田政権下では、選挙対策委員長として衆院小選挙区定数「10増10減」の候補者調整を進め、派閥裏金事件の聞き取り調査の座長も引き受けるなど、歴代首相の信頼を得てきた。 就任会見では「私は浅学非才。どちらかというと高齢者の部類に入る」とした上で、「若い人の意見も高齢者の意見も受け止める政治をするのが大事」と強調。日本経済が転換点にあることを念頭に「党内融和に十分配慮し、野党協議もしっかりやり、政治を間違いのないようにしたい」と抱負を述べた。
裏金事件による政治不信を巡っては「国民の信頼回復に向けさらに努力しないといけない」。総裁選による摩擦も指摘される中、挙党態勢をどう築くか問われると、「自民党の歴史で最も誇れるのは、一度決まったら皆でそれを実現する歴史を作ってきたことだ。総裁選で出た結論には、皆が真摯(しんし)に謙虚に向かうことが大事だ」とした。 ◇ 「難局を打開できるのは、この人しかいない」。自民党の森山裕氏(79)=衆院鹿児島4区=が幹事長に就任した30日、旧知の地元関係者は人口減少や低迷する地方経済への手腕に期待した。党ナンバー2として派閥裏金事件で落ち込む信頼の回復も求めた。 永野和行肝付町長(73)は「地方に光が当たる時代が来るのでは」と声を弾ませた。党役員として多忙でも、週末のたびに地元で国政報告会を開き有権者と語り合う姿を知るからだ。地方創生を掲げる石破茂新総裁とも考え方が近いとみる。 県関係者が党幹事長に就くのは、旧高山町出身の故二階堂進氏以来。森山氏は基幹産業の農林水産業にも精通しており、「資材高騰や子牛価格低迷などの厳しい状況を理解している。国政に反映して」と注文した。