元祖スーパーモデル(59)、整形失敗で「脂肪のかたまり」が飛び出た状態に...当時の辛い心境を振り返る
1965年5月10日、カナダ・セントキャサリンズ出身のリンダ・エヴァンジェリスタ。モデル業界の中でも“カメレオン”と呼ばれていた彼女は、90年代を通じてヘアスタイルを変え続けることによって多くの注目を集めてきた。 【写真】リンダ・エヴァンジェリスタが脂肪冷却の副反応「脂肪のかたまり」を見せる 数多くのショーやキャンペーンに出演した彼女だが、1990年には『ヴォーグ』のインタビューで、「10,000ドル以下の仕事ならベッドから出ない」と語ったことでも有名。現在もモデルとして活動を続けており、2022年にはフェンディのバゲット発売25周年記念キャンペーンに参加。さらに15年ぶりにランウェイにも登場し、フィナーレを飾って拍手喝采を浴びた。 そんな彼女だが、2015年、脂肪を凍結して縮小するFDA(アメリカ食品医薬品局)承認済の「クールスカルプティング(CoolSculpting)」という施術を受けた。外科手術に頼らずボディのパーツを美しくする方法だ。 彼女は合計7回、顎や太もも、バストのあたりをターゲットに施術を受けた。だが数ヶ月後、施術の効果が見られないばかりか、ボディが永久に変形してしまったことに気づいたと、『People』のインタビューで語っている。リンダは、脂肪が固く、感覚を失った膨らみに変形してしまったと表現。 「私は何か間違ったことをしているのではないかと思って、自分で元通りにしようとしたわ」と彼女。ダイエットを始め、エクササイズを増やし、何も食べない状態にまでなったという。「正気を失いつつあったわ」 彼女のかかりつけ医師は即座に、クールスカルプティングのレアな副反応で、脂肪組織が縮小するのではなく増大してしまうPAH(paradoxical adipose hyperplasia)だと診断を下した。 ニューヨーク市の美容外科医ディミトリー・シュワルツバーグによると、クールスカルプティングは針もメスも使わず、副反応もほとんどないことから、脂肪吸引の代替手段となる安全な非侵襲性の施術のはずだという。だが、1%に満たないもののPAHになる可能性があり、そうなると元には戻せない。 PAHを発症してから5年、リンダは体を元通りにするため、あらゆることにトライした。だが、この影響は「永久」に戻らないことがわかったと言う。 彼女は、クールスカルプティングの親会社ゼルティック・エステティクス(Zeltiq Aesthetics Inc.,)を提訴。この施術によるダメージで仕事を失ったとして5000万ドルの損害賠償を求めている。同社は裁判所にこの訴訟の棄却を求める申請をしている。 同社はリンダの脂肪吸引代を全額支払う代わりに、秘密保持契約にサインするよう求めたが、彼女はこれを拒否。2016年と2017年に自費で脂肪吸引手術を受けた。 ところが、その度にPAHになってしまったと彼女は言う。「少しも良くならなかった。脂肪が突起していて、しかも硬い。ドレスの下にガードルをつけずに歩くと、摩擦で出血してしまうほど。柔らかい脂肪が擦れるのではなく、硬い脂肪が擦れる感じ」 また、ポージングにも影響が出た。「両腕を体の脇にフラットにつけられないの。こんなものが体から突き出していたら、デザイナーは私に服を着せたいとは思わないわ」と言ってシャツを下げ、腕の下からPAHのかたまりが突出しているのを見せた。「鏡を見られない。こんなの私じゃないわ」と彼女。 それでもリンダは新たな体を受け入れようと努力し、不運な経験にもめげず自分を愛そうとしている。「もう隠れたりしない」と、自分がストーリーを伝えることで同じような状況にある人の助けになることを願っている。