「わざわざ株価が高くなりがちな権利確定月に買う必要はない」 億り人投資家が教える、株主優待銘柄の「買い時」「売り時」
個人投資家の間で高い人気を誇る「株主優待」。各社、自社商品やQUOカードなど、様々な優待を用意していて、権利確定月にはそうした銘柄が上昇することも少なくない。一方で、人気の優待銘柄が突然「優待廃止」を発表して、株価が大きく下落することもある。はたして、投資家が優待銘柄を売買する場合、どのようなタイミングが適切なのだろうか。資産7億円を築いた専業投資家「www9945」氏の著書『年収300万円、掃除夫だった僕が7億円貯めた方法』(宝島社)より、「優待銘柄の買いどき・売りどき」について紹介する。
優待銘柄の買いどき
優待投資は「守りの投資」だ。できれば、地合いが悪く、週刊誌が株式に見向きもしていないような時期に、「そっと」買う。それが優待投資の基本だ。 相場が過熱している時期は優待利回りが低下するだけでなく、株価下落のリスクも高いからだ。優待をもらっても、それ以上に株価が下落したら本末転倒。優待投資を始めるならリーマンショック後のような、閑散とした相場が一番だ。 買う「月」も大切だ。株主優待の権利が確定する月の中旬くらいに買うと、後々含み損を抱えやすい。優待の多い3月、9月はマネー雑誌や新聞でも優待特集が組まれ、それに煽られた初心者が水準を気にせず買い上げていくからだ。だが、何もわざわざ高くなりがちな月に買う必要はない。 目ざとい投資家の中には、人気優待銘柄を割安な2月のうちに仕込んでおき、3月になると出てくる優待狙いの買いに売り注文をぶつけて利ザヤを稼ぐ人もいる。そんな投資家の餌食にならないよう、事前に仕込んでおきたい。 「時期なんて気にせずとも、クロス取引でタダ取りできる」と言う人もいるかもしれないが、私は使わない。 優待狙いのクロス取引というのは現物で優待銘柄を買い、同時に信用取引で同じ銘柄を空売りする(証券会社経由で株を借りてきて、それを売る)というやり方だが、誰もが同じように考えるので、優待銘柄の信用売りでは「逆日歩」が発生しやすい。逆日歩は手数料の一種のようなものだが、このコストが意外とバカにならないことも多い。空売りを甘く見ないほうがいい。 それに、そもそもがクロス取引という、他人の株を借りて売り、優待という実利を狙おうという考え方自体が、あまりにもさもしい気がして、個人的に肌に合わない。 また、新たに優待制度を設ける銘柄も注意だ。優待新設の翌日に買ってはいけない。商い(売買高)が急増し価格も上昇してしまうことが多いので、高値づかみで購入しがちである。 どうしても買いたいなら、優待新設で高騰した株価が落ちてきて、短期の指標である「25日移動平均線」にタッチするのを待ってからだ。 株数については、以前にも述べたが優待の最低単位で購入するのが、利回り的にもっともお得になることが多いので、最低単位ずつ買って、より多くの銘柄に分散することを優先している。