【2025年の年金制度改革】シニアの不安解消となるか…「財政検証」などで議論される内容まとめ
所得代替率以外に知っておくべきこと
所得代替率以外にも、財政検証の中で被用者保険の更なる適用拡大や65歳以上の在職老齢年金の撤廃、標準報酬月額の上限の見直しなどに関する議論も行われています。 被用者保険の適用拡大や65歳以上の在職老齢年金の撤廃には、深刻な人手不足へ対応する措置という側面もあります。 今後日本は労働力人口の減少が見込まれているため、年金財政だけでなく労働力の確保も考慮しなければなりません。 実際に、2024年10月より被用者保険の適用拡大が行われます。主に短時間労働者が影響する制度改正ですが、今後も「負担増」は免れないでしょう。
現役世代は何を意識して行動すべきか
少子高齢化が進展すると考えられるため、程度の差こそあれ、公的年金の給付水準が下がっていく事態を想定する必要があります。 現役世代は、安心して老後生活を送るためにも現状の把握と将来の備えを進める必要があるでしょう。 将来受け取れる年金額は厚生労働省の「公的年金シミュレーター」や日本年金機構から届く「ねんきん定期便」などで確認できるため、まずは現状を把握しましょう。 たとえば現在30歳の方の場合、年金を受け取り始めるのは30年以上も先です。 明確にイメージするのは難しいため、不安を言語化するのは難しいでしょう。 しかし、受け取れる年金額を把握すれば「○歳時点で○万円の資産を用意できれば、ある程度安心して過ごせそうだ」というざっくりとしたイメージと数値目標を作れます。 また、充実した老後生活を送るための手段として、働く期間を長くしたりNISAやiDeCoを活用した資産形成を行ったり、具体的な対策を取れるようになるでしょう。 このように「現状の問題点」「具体的な対応策」を考え、実行すれば老後生活に関する経済的不安を軽減できます。 自助努力が求められている状況を理解し、行動に移すことの重要性が高まっています。
まとめにかえて
財政検証は、公的年金制度が今後も健全に運営するために欠かせません。 現在の給付水準と将来の見通しを知れば、現役の頃に自分がやるべきことを把握できるでしょう。 個人で老後生活に備える必要性の高まりもまた事実。自分が行うべきことを整理し、着実に実行することが大切です。
参考資料
・厚生労働省「将来の公的年金の財政見通し(財政検証)」 ・厚生労働省「令和6 <2024> 年財政検証結果の概要」 ・日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」 ・厚生労働省「公的年金シミュレーター」 ・日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」
柴田 充輝