来年の世界経済は成長鈍化 新興市場への資金流入は25%減に=IIF
Libby George [ロンドン 11日 ロイター] - 国際金融協会(IIF)は11日発表した半期報告書で、2025年の世界の経済成長率が前年比2.7%と24年見込みの2.9%から鈍化し、外国投資家による新興市場への資金流入額が7160億ドルと、前年より25%近く減るとの見通しを示した。 トランプ米次期大統領による輸入品への関税引き上げやドル高傾向、米連邦準備理事会(FRB)による想定を下回る利下げが既に投資家の計画に影響を及ぼしていると指摘。さらに「資本フローの環境がより厳しくなり、投資家のリスク資産への投資意欲は弱まっている」とも言及した。 このような変化は中国に最も大きな打撃を与えている。一方、中国以外の新興市場は中東やアフリカの資源国がけん引する形で債券や株式への「力強い」資金流入が見込まれている。 中国に対する外国直接投資は24年に入ってから数十年ぶりの流出となり、25年には250億ドルの流出が予想されている。 一方、IIFは新興市場全体で見ると、25年に3.8%の経済成長率になると予測した。 IIFは、トランプ政権が一部品目だけの関税引き上げを想定することを基本シナリオにしたと説明している。もしもトランプ氏がけん制した通り中国からの全ての輸入品に60%の関税を課し、他の国からの全ての輸入品に10%の関税を適用した場合にはシナリオはさらに悪化しかねない。 IIFは「米国がより強力かつより迅速に関税を発動した場合、さらなる下振れリスクをもたらして世界貿易とサプライチェーン(供給網)の混乱を増幅させ、新興市場の資本フローにさらなる負担をかけることになる」との見通しを示した。