【独占】小池都知事が見通す自民党総裁選「面白い現象が起きる」政治資金パーティー規制に「議員が小さくなる」懸念も
「もはや派閥の時代ではない」と言われて久しい。ここはチャンスだ。「創造的破壊」の瞬間だろう――。2009年の小池百合子氏の指摘は、まるで現在の「派閥とカネ」の問題を予言していたかのようだ。都知事選に立候補を表明した小池氏は、東京と日本が再び活力を取り戻すために都知事として何を変えるつもりなのか。都知事選への立候補を表明した現職が今だからこそ語る「派閥とカネ」と「都政の未来」。(構成/宮下舞子) 小池百合子氏が語る「都政の未来」【画像あり】 >>前編はこちら ――いま、一部をのぞいて派閥は解散されました。これから自民党や政治全体にどのような変改が起こると考えていますか? これまでの派閥は、その派閥のトップを総裁、総理にする目的と、「共同体」という両方の機能を持っていました。今後、共同体の部分がかなり壊れていくならば、次の総裁選びは、議員が「誰のもとで選挙をした方が自分の当選確率が上がるのか?」という観点で判断するようになるのではないでしょうか。 ――そうすると、国民からの人気が高い人が総裁に選ばれやすくなるのでしょうか? そこは議員同士ですから、候補者の力量はきちんとわかっています。人との付き合いが良いのか悪いのかなども含めて。ただ飲み会だけしていればいいというものでもありません。やはり議員も一人一人をしっかりと見ていますよ。だから「派閥の長が決めた候補者に投票しろ」という縛りがなくなっていけば、面白い現象が起きてくると思いますね。国民のニーズに資する人が自民党の総裁に選ばれやすくなるのではないでしょうか。
――「選挙には金がかかる」「政治には使途を明らかにできない金も必要だ」という意見もありますが、政治と金の透明性についてはどうお考えですか 政治に関わるお金のすべてを透明にして国力が保てるかと言えば、それはまた違うと思うのです。その最たるものはいわゆる官房機密費ですが、これは戦略的に使途を明かさないことも必要だと思います。 一方、政治家個人の政治活動については透明性を確保していく必要がありますが、議員が選挙区の生の声を聞きながら活動していくには、一定のお金が必要であることも事実です。秘書やインターンといった人材の確保も必要ですし、勉強会の開催、交通費、事務所の家賃などもけっこうかかります。 「政治資金パーティー」という言葉から、豪華なパーティーでおいしいものを食べているイメージを持たれるかもしれませんが、そうでもない。純粋に政治家のサポートをしたいと考えて参加してくれる個人もたくさんいるのです。 政治活動自体をあまりに厳しく規制することで、議員が小さくなってしまうのではないかと少し心配もします。どこの国の政治も、支援者のサポートを得ながらやっています。透明性の確保は必要ですが、皆さんからの支援で政治活動をしていくこと自体はむしろ健全で問題ないのではないでしょうか。そのあたりを制度的にしっかり見直していただきたいですね。 ――自民党の裏金問題によって、派閥という因習が組織の腐敗や硬直化をもたらすことを示しましたが、東京あるいは日本が再び活力を取り戻すために、都知事として何をどのように刷新すべきと考えますか? 私が頻繁に引用する「国力の計算式」では、国力を「人口と経済力と国防力を足したものに、戦略と意志をかける」と定義しています。経済力の指標の一つとなるGDPはドイツに抜かれ、そして近々インドにも抜かれると言われています。為替の関係もあるとは言え、日本の国力はますます相対的に縮小しています。