選手と研究者の二刀流、京都から飛躍誓う ラクロス女子日本代表・羽場遥香さん
2028年ロサンゼルス五輪の追加競技として120年ぶりの復活が決まったラクロス。競技の人気や知名度の向上に関係者が期待を寄せる中、来年1月の豪州で開催される女子アジア・パシフィック選手権に出場する日本代表メンバーに選出された。「チームに貢献したい」。成長を続ける22歳は選手と研究者の〝二刀流〟。努力家の素顔に迫った。 【写真】プログラミングを通して肝臓の働きについても研究している羽場遥香さん 京都府精華町出身。中学校まではバスケットボール部に所属したが、同志社高校時代にラクロスと会った。本気で日本一を目指せる環境に魅力を覚えたが、高校最後の全国大会が新型コロナ禍で中止に。目の前が真っ暗になったが、不完全燃焼で競技を終える選択肢はなかった。ひたむきに練習を続け、次のステージでの全国制覇を誓った。それが「大学日本一」だった。 同志社大では1年次からベンチ入りし、2年次から攻撃の要として欠かせぬ存在となった。4年次にはAT(アタック)のリーダーを務め、チームの底上げを担った。空き時間はほとんどラクロスにささげてきた。グラウンドや、祖父の手作り練習場でクロスを握り続けた。結果として日本一にはなれなかったが、ひたむきに努力を重ねた。 憧れの日本代表に選出されたが「選ばれた実感がなかった」。一転して練習に合流するも当初は戸惑いの連続だった。代表の選手の大半が関東のチームに所属しており、人見知りな性格から初回の練習は「ガチガチ」だった。トップレベルが集うチームメートとの実力の差に嫌気が差すこともあった。 それでも周囲の声がけが何よりの励みとなった。今では仲間と打ち解け、自分らしいプレーができる。「まだ学べるんやな」。一流のプレーや声がけ、未知の練習メニュー。参加するたびに目からうろこの体験となり、こうした刺激からラクロスの楽しさを再認識した。 もう一つの顔もある。同志社大では生命医科学部の学生として、肝臓疾患の進行メカニズムをシミュレーションする数理モデルを研究。「将来は医療に携わってエンジニアとして働きたい」。今後は大学院に進み、研究を継続する予定だ。 ラクロスは2028年ロス五輪の追加競技として120年ぶりの復活が決定。ただ、日本ラクロス協会を中心に競技の啓発に努めるも、野球やサッカーなどの競技に比べると知名度は劣る。自身も一人の競技者として「もっと有名になったらいいのに」と競技の知名度アップに期待を寄せる。
まずは目の前のプレーに集中する。迫る豪州の大会に向け「チームに貢献することが一番。責任感を持って臨みたい。国内外のトップの選手と一緒にラクロスをできる環境はそう経験できないと思うので、大会の中でも成長していきたい」と意気込んだ。(渡辺大樹)