笑顔は自分も周りも明るくしてくれる/塩沼亮潤大阿闍梨「くらしの塩かげん」
1300年間にわずか2人しか成し遂げた人がいない荒行「大峯千日回峰行(おおみねせんにちかいほうぎょう)」の満行者、塩沼亮潤(しおぬま・りょうじゅん)大阿闍梨(だいあじゃり)。最難関の命がけの荒行を経験し、修験道を極めた塩沼さんがいま切に感じるのは「日々の“あたりまえ”のことこそ難しい」ということ。 塩沼さんの最新刊『くらしの塩かげん』から、私たちの“あたりまえ”の暮らしにそっと光を灯す小さなヒントをお届けします。
笑顔で生きよう。
文/塩沼亮潤 東京のとある場所でエレベーターに乗っていたとき、後ろにいた男性から「ちょっといいですか?」と話しかけられました。 そして「笑顔がすごく素敵だったのですが、それはどこかでトレーニングをされたのですか?」と。 ”笑顔のトレーニング“なんて、面白いことを聞くなぁと思いながらも、「特別なことは何もしていませんが、なるべく毎日笑顔で過ごすように心がけています。そしたらいいことばかり起こるんですよ」とお答えしました。 ひとつの笑顔がきっかけで、知らない人と一期一会の会話を楽しむことができたのです。ほんの数十秒でしたが、とても素敵な時間でした。 生きていると楽しいことばかりではありませんし、笑顔でいられない日もありますが、それでも極力笑顔で過ごしましょう。 また、笑顔の裏で歯を食いしばって頑張っている人、苦難を乗り越えるため、自分を鼓舞するために笑顔で生きている、そんな人もいらっしゃると思います。そんな人にこそ、素敵な福が舞い込んで、いいことが続いていきますように。
塩沼亮潤(しおぬま・りょうじゅん)
1968(昭和43)年、宮城県⽣まれ。1987年奈良県吉野の金峯山寺で出家得度。1999年「⼤峯千⽇回峰⾏(おおみねせんにちかいほうぎょう)」の満⾏をはじめ、2000年には9⽇間の断⾷・断⽔・不眠・不臥の中、御真⾔を20万遍唱える「四無⾏(しむぎょう)」を、2006年には、100日間の五穀断ち・塩断ちの前⾏の後、8000枚の護摩を焚く「⼋千枚⼤護摩供(はっせんまいだいごまく)」を満⾏。同年故郷の仙台市秋保に福聚山 慈眼寺(ふくじゅさん じげんじ)を建立。「⼼の信仰」を国内外に伝えている。簡単なようで難しい日々の「あたりまえ」の大切さを綴った最新刊『くらしの塩かげん』(世界文化社刊)大好評発売中。