深刻な人手不足、特定技能外国人で補う動き
イオングループのイオンディライトは2030年度までに特定技能外国人を4000人規模で受け入れる計画です。背景には、外食や小売、流通の現場の深刻な人手不足があります。 帝国データバンクが4月に行った調査では、パート・アルバイトなどの非正規社員が不足していると答えた企業は、以下の通りです。 ・外食産業・・・75% ・飲食料品小売業(食品スーパー)・・・57% また、外食産業では正社員についても、57%の企業が「不足している」と回答しました。 こうした中、政府は外国人の労働力活用を広げる取り組みを進めています。特定技能外国人の受け入れ拡大です。 「特定技能」は在留資格の一つで、人手不足の分野に限って一定の専門性を持つ外国人労働者を受け入れる制度として、2019年に始まりました。 この「特定技能」について今年3月、分野と業務内容を追加することを閣議決定しました。 たとえば、飲食料品製造分野では、これまで工場内での食品加工しか行うことができませんでしたが、食品スーパー内での総菜加工なども可能になりました。また、新たな分野として、ドライバー不足が深刻な自動車運送業なども特定技能に追加されました。 受け入れ人数の上限も大幅に拡大し、2024年度から5年間の受け入れ上限を、前の5年間(2019~2023年度)の2.4倍の82万人に増枠しました。
イオンは現在、グループ全体で1500人の特定技能外国人を雇用していて、主に食品加工の工場で働いています。イオンディライトは今後さらに、全国におよそ2700店あるスーパーでの総菜加工や、商業施設の清掃などに広げていく予定で、グループ内の人材紹介会社を通じて他社にも紹介していく計画です。 受け入れを増やすうえで、待遇面の改善も進めています。社宅やシェアハウスの整備、日常生活の支援、休日のイベントなど、働きやすい環境整備に力を入れる方針です。 ただ、日本が受け入れ拡大の準備をすれば、望むだけ外国人が来てくれるとも限りません。タイやベトナム、インドネシアなどでは年々、国内の給与水準が上昇しています。わざわざ日本に働きに来ることを選ぶ人が減れば、特定技能外国人の確保も難しくなります。 産業界では、こうしたことも見越して、今のうちに外国人人材を確保しておこうという動きも出てきているといいます。 長く日本で働いてもらうためには、住居や生活支援などの待遇改善も重要になっています。