三流の管理職は「引き継ぎ」がまるで下手。では、超一流のリーダーは?
「仕事が遅い部下がいてイライラする」「不本意な異動を命じられた」「かつての部下が上司になってしまった」――経営者、管理職、チームリーダー、アルバイトのバイトリーダーまで、組織を動かす立場の人間は、悩みが尽きない……。そんなときこそ頭がいい人は、「歴史」に解決策を求める。【人】【モノ】【お金】【情報】【目標】【健康】とテーマ別で、歴史上の人物の言葉をベースに、わかりやすく現代ビジネスの諸問題を解決する話題の書『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、伊達政宗、島津斉彬など、歴史上の人物26人の「成功と失敗の本質」を説く。「基本ストイックだが、酒だけはやめられなかった……」(上杉謙信)といったリアルな人間性にも迫りつつ、マネジメントに絶対活きる「歴史の教訓」を学ぶ。 ※本稿は『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。 ● 上手に引き継ぎする たった1つのコツ 求心力のあるリーダーから後任のマネジメントチームに承継するには、どのように進めればよいのでしょうか。 まずやるべきことは、現在のリーダーの仕事を一覧にして“見える化”することです。 このときのコツは、仕事の内容を分類して整理すること。分類というのは、たとえば「(顧客や取引先など)社外の対応」と「(部下や他部署など)社内の対応」に分けます。 ● 社内外の人脈まで “見える化”する また、所定の手続きで対応できる「事務対応」もあれば、トラブルや重要案件に対する「意思決定」もあります。 こうした「社外の対応」「社内の対応」「事務対応」「意思決定」などが一覧上の分類になってきます。 経営者や管理職であれば、社内外の人脈も重要な資産ですから、これも一覧にすることによって“見える化”します。 ● 名刺管理ソフトを使って 情報を得るだけでもいい 会社が所有する不動産や設備などは、経理・会計情報として一覧にされていますが、人脈は属人的で一覧にされていないことが多いです。 現在は名刺管理ソフトなど、省力化できるツールもありますから、活用するのも一手でしょう。 ● 1人ではなく チームで引き継ぐ 次に、現在のリーダーの仕事を一覧にしたものをベースに、後任のリーダーや幹部メンバーがどのように役割分担するかを決めていきます。 「社外の対応」はできるだけリーダー自らが担いつつ、「社内の対応」は幹部ができるものは分担しましょう。 毛利家の「毛利両川体制」においても、吉川元春が軍事を、小早川隆景が外交を担うことで、各自の強みを活かした役割分担をしました。 ● リーダーがやらなくてもいい 「事務対応」は部下へ とくに小早川が外交を担ったことで、織田信長の死後、対立していた豊臣秀吉との関係を交渉により友好的なものにシフトすることができ、毛利家は大大名として存続することができました。 ただし、経営者であれば、経営を左右する「資金対応」は、経営者自身がしっかり把握してください。 「事務対応」については、部下と役割分担できることが多いです。そもそもリーダーがやらなくてもいいような事務対応に追われているケースが少なくありません。 ※本稿は『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
増田賢作