「ポール間を走っている姿がまず頭に思い浮かぶ」和田毅へ早大時代の恩師・野村徹氏のメッセージ
熱血指導した最後の教え子
ソフトバンク・和田毅投手(43歳)が11月5日、今季限りでの現役引退を発表し、記者会見を開いた。早大時代の4年間、指導に当たった野村徹氏(87歳)がメッセージを寄せた。9月13日には和田の1学年下のヤクルト・青木宣親(42歳)が現役引退を表明。野村氏は10月2日に行われた青木の引退試合(対神宮、対広島)に足を運んだ。和田の引退により、母校・早大で熱血指導した最後の教え子が、ユニフォームを脱ぐ形となった。 【選手データ】和田毅 プロフィール・通算成績 【野村徹氏のメッセージ】 和田は自分の体をよく知っている。足の内転筋を痛めて、走れなくなったのが、致命傷だったと思います。習慣であったランニングに、ピッチングのすべてが出てくるわけですからね。(現役最年長44歳の)ヤクルト・石川雅規投手と一緒です。調子が良いときは、走りで分かる。そこを重要視してきました。走れない悔しさ、歯がゆさがあったかと……。 「松坂世代」の中で生き残ってきて「1年でも長く……」と思っていたはずですが、こればかりは仕方ない。本人からの連絡によると、9月ぐらいから頭にあったそうです。「チームに迷惑はかけられない」「(チャンスがある)若手にも迷惑がかけられない」と、日本シリーズ後のタイミングでの発表になったそうですが、周囲への配慮が、彼らしいですね。 学生時代も、故障が多かった。常日頃から、十分なケアをしていました。にもかかわらず、なぜ多かったかと言えば、体を目一杯使って投げていたからです。改めて、映像を見ても、相当なエネルギーを消費していました。今回の場合、エンジンの元(下半身)から故障した。和田は、小手先では野球はできない。 和田の最大の良さは、初速と終速の差が少ないこと。人一倍のトレーニングの賜物です。つまり、打者の手元でのキレが優れている。140キロそこそこでも、三振を量産できたのは、そこに秘密があります。初速と終速の差が開いてくると、そのキレが落ちる。一気に飛びやすいボールになってしまう。逆に飛んでしまうんです。私の記憶が正しければ、本塁打で試合が決まる試合が多かった印象。すべては、ピッチャーの宿命ですが……。 大学4年間の思い出と言えば、東伏見グラウンド(現・安部球場)のポール間を走っている姿がまず、頭に思い浮かびます。