「ポール間を走っている姿がまず頭に思い浮かぶ」和田毅へ早大時代の恩師・野村徹氏のメッセージ
もう一つは、4年秋。法大3回戦で江川卓さん(元巨人)の奪三振記録を更新し、明大、立大から勝ち点を挙げ、慶大1回戦で(早大として52年ぶりの)連覇を達成しました。迎えた2回戦。9対2とリードした9回裏、私は和田を三番手投手に指名しました。イニング頭の交代時にマウンドへ行くのは初めてでした。具体的に指示することは、何もありません。投球練習の後「和田、全部、三振狙っていけ!!」。最初で最後の三振指令でした。最後は和田らしく、試合を締めてくれました(2奪三振)。立派な4年間でした。
10月2日。青木の引退セレモニーで花束を贈呈させていただきましたが、この日の試合前、東伏見に足を伸ばしました。練習時に小宮山悟監督から「一言、お願いします」とありましたので、選手の前でこう言いました。 「東伏見で、悔いを残さないこと。東伏見で取り組んできたことを、神宮で披露するだけ。早稲田はその精神が受け継がれている。『一球入魂』。それは、東伏見にないといけない」 早稲田大学野球部で監督を務めた6年、私が学生に言い続けたのは「東伏見=神宮」。まさしく、和田はそれを体現した一人です。走って、走って、投球の下地を作り上げた。投手として大事なものを、早稲田に残しました。 今季引退した青木に次いで、(早大で指導した)最後の一人……。寂しいですねえ。いよいよ、来たか、と。あと1年かな、とは思っていましたが……。和田から電話をもらったときには一層、寂しさを感じた。3月に引退セレモニーを開催すると聞きましたが「よく頑張った」と声をかけてやりたいと思います。 写真=BBM
週刊ベースボール