“鬼木メモ”はすぐ処分?常に同じ熱量を持ち続ける川崎・指揮官の流儀。新たなACLにはどう対応するのか【インタビュー4】
多くのことを書き、自問自答するが
従来の4チームでのグループステージではなく、東地区12チームのうち各クラブが8チームと戦い、その後は、西地区のクラブとも相まみえる新たなフォーマットの“ACLエリート”。リーグ戦では苦戦が続く川崎は、その未知のアジアの戦いへどう臨んでいくのか。鬼木達監督の想いに迫ったインタビューの第4弾だ。 【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「J歴代ベスト11」を一挙公開! ――◆――◆―― 日本代表の森保一監督が試合中に書く“森保メモ”が一時期、クローズアップされることがあったが、鬼木監督も試合中にメモを活用しつつ、日常から自分の考えを書き綴って頭を整理しているという。 ただ意外なのはそういったメモは残さず、すぐにシュレッダーにかけるらしい。 「僕はよく自問自答しますし、紙にもいっぱい書きます。自分がその時に思っていることやチームで起きていることなど。あとはこれを伝えた時に、どういう伝わり方をするか想像したり、この言葉だと多分伝わらないんだろうなとか、伝え方に関してもいろいろ考えます。 でも僕は、ひとつの試合に対して、自分たちの今の状況、ストロングポイント、ウィークポイント、相手の情報などをいろいろ書きますが、試合が終わったら全部捨てちゃいます。シュレッダーにかけるんです。だからそうしたメモは残ってないんです」 それはなぜなのか。 「なぜ...? それは色んなものに引っ張られたくないという想いがあるのかもしれないです。例えば大事なゲームで、前にこういうことを話したなと、思い返すこともあまりしません。その時に感じて発した言葉と、今、目の前で起きていることは、似ているようで、違いますから。その時に感じたことをストレートに伝えたいと言いますか。 もちろんミーティングなどで白板に書いたものや、選手に渡したものを撮って残すこともありますよ。でもそこに行き着くまでに、紙に多くのことを書いて、整理したり、厳選したりしていますが、その書いたものは手もとには残ってないんです。考えてみればそれが良いのかもしれないです。 要は僕は同じことを多分いっぱい喋っているんです。でも、もし昔に書いたことを見返したら、『前にもこれ喋ったな』っていう想いになってしまうかもしれない。そうじゃなく、僕は次の試合、これが大事だと、その時感じた熱量で伝えることが重要だと思っています。だから、もしかしたら、変わらない熱量でどんな時も挑めているのは、そうした背景もあるのかもしれないですね」 指揮8年目。傍から見ればマンネリが心配されるかもしれないが、常にフレッシュに一戦一戦に臨む鬼木監督の姿は、こういう意識からも来ているのかもしれない。