ヒョンデの「N」×ドリキン=DKパッケージ【東京オートサロン2025】
ヒョンデの高性能ブランド「N」は、『東京オートサロン2025』で2つのスペシャルモデルを発表した。ひとつはMINI GTとのコラボレーション、もうひとつはレーシングドライバーの土屋圭市氏が監修した特別パッケージの「DKパッケージ」である。 TEXT:世良耕太(SERA Kota) IONIQ 5 N MINI GT RS-01 T MINI GTは64分の1の小型スケールモデルに特化したブランドだ。そのMINI GTとコラボし、IONIQ 5 N(アイオニック・ファイブ・エヌ)をベースにした1分の1モデルを開発。将来的にはこの1分の1モデルをベースに64分の1スケールを展開するという。 IONIQ 5 N MINI GT RS-01 Tと名づけられたスペシャルモデル(RSはドイツ語のRenn Sport=レーシングスポーツ、TはTrack Conceptに由来)は、カップカー由来のウルトラワイドボディキットを装着し、305mm幅のワイドタイヤを収める。全幅は2m超えだ。ダブルエレメントのリヤウイングは2024年のWRC(FIA世界ラリー選手権)でドライバーズタイトルを獲得した車両からインスピレーションを受けた形状とのこと。 MINI GTのグレン・チューCEOは、「高性能EVの新しいスタンダードを打ち立てたIONIQ 5 Nの虜になりました。このクルマをスケールモデルに転換したらどうなるだろうと考え、ヒョンデN部門に提案したところ、完全な支持を得ることができました。彼らの支援がなければ、このプロジェクトは実現しなかったでしょう」とコメントした。 IONIQ 5 N DK Edition IONIQ 5 N DK Editionは、ヒョンデのNブランドとオートバックスがコラボレーションし、土屋圭市氏が監修したパフォーマンスパーツパッケージを装着したモデル。DKは土屋氏の愛称であるドリキン(Drift King)に由来する。 ヒョンデNマネジメントグループのパク・ジュン常務は「クルマをチューニングするうえで無限の可能性を秘めているオートバックスとコラボレーションしたら、Nはもっと楽しいブランドになると考えました」と、プロジェクトの発端について説明。続けて、土屋圭市氏の参画について触れた。 「IONIQ 5 Nでもドリフト走行は可能です。でも、土屋圭市さんのドリフトバイブル(ホットバージョンやベストモータリングなどのVHSビデオ)を見てドリフトにあこがれ、ドリフトを学んだ者として、ドリキンの情熱とフィードバックを加えるとどのようなものになるか考えました。そして、土屋さんの指導のもと、エンジニアたちが日本で最も有名なサーキットである富士スピードウェイや峠でテスト走行し、セッティングを検証しました」 DK Editionにはローダウンスプリングが採用され、電子制御ダンパーを最適化。6ピストンモノブロックのブレーキシステムは、電子制御システムと連動して最適な制御とバッテリー性能を発揮するよう設定したという。また、耐熱性と制動の一貫性を向上させるため、ブレーキパッドの摩擦面積は54%拡大。ほかに、21インチの軽量鍛造ホイールと専用エアロパーツが採用されている。 監修にあたった土屋圭市氏は、「Nに乗ってびっくりした」と話す。「ノーマルも完成度は非常に高い。そこからさらにいいものにできるよねと、ヒョンデの開発部隊と一緒に仕上げたのがDK Editionです」 土屋氏の言葉を借りれば、「飛ばす人のために作り上げた1台」がDK Edition。いっぽうで、乗って恥ずかしくないエアロ、品が悪くならない程度のローダウンを意識したという。DK Editionは2025年末までに日本と韓国で発売を予定し、さらなる市場展開を計画している。
世良耕太