町田樹、上野水香、高岸直樹の3人が共演!「フィギュアスケートとは全然違う」町田樹が語るバレエの難しさ
「Pas de trois」……“パ ド トロワ”と読むこの言葉は、3人で踊る演目を意味するバレエ用語。この言葉を冠した公演が間もなく東京で幕を開けようとしています。出演するのは、「東京バレエ団」のゲストプリンシパルで日本が誇るトップバレエダンサー上野水香さん、フィギュアスケート選手としてオリンピック出場経験をもち、現在は表現者として活動する傍ら、國學院大學で教鞭を取る町田樹さん、そして「東京バレエ団」で長らくプリンシパルとして活躍し、現在は後進の指導、育成にも尽力するダンサーの高岸直樹さんの3人。スペシャルな公演に臨む3人に、意気込み、互いの印象、そして表現者としての矜持を聞きました。
表現においてジェンダー差のあるバレエの難しさ
取材に訪れたこの日は、まだ稽古が始まって間もないころ。上野さんと町田さんの2人が振りを確認しながら練習を進めていました。 上野水香さんは2004年から「東京バレエ団」にプリンシパルとして在籍し、長年一線で踊り続けてきました。町田さんとは対談経験は何度かあるものの、本格的に一緒に踊るのはこれが初めてだといいます。高岸さんを交えて3人で踊る演目に加えて、町田さんが上野さんに振り付ける演目も。ショパンやドビュッシーといったクラシックのピアノ演奏に合わせて進む公演です。 ──まず、町田さんと今回共演が決まったときのお気持ちからお聞かせください。 上野さん(以下上野):オリンピックに出るなどスケーターとして活躍し、現役を引退したら大学教員に。そしてバレエの振り付けまで手掛けるなんて。どれだけさまざまな才能を秘めている方なんだろうと驚きます。芸術的な感性も豊かで、バレエに関するご自身ならではの考察も鋭い。 以前から振り付けに興味があるとお話されていたので、それが叶うときが来たんだなと思いました。 ──町田さんとバレエの出会いは? 町田さん(以下町田):現役の時代にフィリップ・ミルズさんというフィギュアスケートの振付家との出会いがありました。「エデンの東」や「火の鳥」といった私の代表作ともいえる作品の振り付けをしてくれた方ですね。フィリップさんはもともとバレエダンサーでいらして。奥さまのミシェルさんもバレエダンサーなんです。だからその時代にフィリップさんやミシェルさんからレッスンを受けていたことはありました。 そして現役を引退したあと、あらためてバレエを勉強したいと思って頼ったのが高岸直樹さんです。スケートは滑れる環境がないとできませんが、バレエはどこでもできる。ただ人からお金をいただいて踊るなんてことは考えてもなくて、人生のうるおいとしてのバレエを、高岸さんに9年ほど教えてもらっていたんです。それが今回この公演の提案をいただいて自分でもびっくりです 。 <写真>リハーサル中の上野さんと町田さん。