J1町田、自慢の守備決壊で史上初の初昇格シーズンV逃す DF昌子は「負けて悔しいが1年間を考えたら素晴らしい」
◇8日 J1リーグ第38節 鹿島3―1町田(カシマ) 他カードの結果次第で逆転優勝の可能性があった町田は、前半の3失点が痛かった。史上初のJ1初昇格シーズンでの優勝は達成できなかったものの、19勝9分け10敗の3位と奮闘した。 町田は最後に力尽き、夢物語は終焉(しゅうえん)を迎えた。敗北感を全身で受け止めながら、守備を支え続けた元日本代表DF昌子は顔を上げ、その表情はどこかすがすがしかった。 「負けて悔しいが、1年間を考えたら素晴らしく、歴史的なチャレンジに向けて、みんなが一丸となった結果。胸を張って帰りたい」 リーグ最少失点の守備が決壊した。前半5分は速攻に沈み、同16分には左サイドをあっけなく崩された。「終わってみれば、立ち上がりが全てだった」と黒田監督。鹿島に勝ち、神戸、広島がともに敗れれば優勝の可能性があったが、前半に想定外の3失点を喫し、淡いもくろみは霧散した。 ただ、精根尽き果てたチームの胸中には、達成感も共存していた。 躍進の原動力は、細部にまで徹底された厳格な守備だった。走る、戦う、体を張る、1対1で負けない。前線からのハイプレスは鋭く、ミドルゾーンに構えたブロックは堅い。今季の完封数はリーグ最多18。「原理原則に立ち返り、実践し続けることで負けないチームになる」と黒田監督。 最終盤まで守備の規律は乱れず、後半31分以降の失点はリーグ最少の6。同追加タイムの失点はリーグで唯一、ゼロ。負けない組織の基盤はどこよりも堅固だった。 初昇格クラブとして歴代最高順位で終え、来季はACLにも初挑戦する。黒田監督は「もっと強い町田として、来年もチャレンジしたい」と話した。
中日スポーツ