農家出身、農業学び…プロ野球へ 愛用グラブは牛柄 ロッテ・廣池選手
大学入学時は「牛の改良に関わりたい」
農家出身、農学部卒の牛好きな野球選手がデビューする。千葉ロッテマリーンズに入団した、東海大学農学部の廣池康志郎投手(22)だ。祖父・益男さん(故人)は宮崎県都城市の肥育農家で、父・弘美さんは兼業の米農家。自身も熊本県の阿蘇くまもと臨空キャンパスで牛の世話をしてきた。牛柄の愛用グラブを手に「躍動感ある投手として活躍し、地元宮崎牛のPRもしたい」と意気込む。 牛がデザインされたグラブを掲げる廣池選手 廣池さんは身長185センチ、右投げ左打ち。ダイナミックかつしなやかで、躍動感のある投球フォームが特徴で、最速153キロを誇る。2024年10月のドラフト会議で、千葉ロッテマリーンズから5位指名を受け、入団。同大農学部として初のプロ野球選手となった。背番号は64。 入学時は「牛の改良に関わりたい」と考えていた。ただ、プロ志望の先輩の姿を見たことや、2年生の頃に球速が150キロを超えたことから「より高いレベルで野球がしたい」と思うようになった。「野球を精いっぱいやり切った後に、畜産のことも考えたい」と意気込む。 愛用のグラブには「購入時に迷わず入れた」という牛のマーク。畜産農家に向けて「関東に行くので宮崎牛のおいしさなどをアピールしていく。(飼料の高騰など)大変な状況だと思うが頑張ってほしい」とエールを送る。 「(故郷の都城では)小さい頃、牛に与える牧草ロールの上で鬼ごっこをしていた。飛び乗っていたおかげでジャンプ力がついた」と笑う廣池さん。祖父・益男さんはブランド「宮崎牛」となる牛を50頭ほど飼う肥育農家だった。父・弘美さんは、兼業で飼料用や自家消費分などの米を作っており、親戚には繁殖農家もいる。 自身も牛や動物、農機の運転が好きで、県立都城農業高校を経て同大に入学。農学部動物科学科で学んだ。赤牛を放牧する阿蘇フィールドの放牧地を訪れ、傾斜が厳しい場所で電気柵を設置した実習が特に記憶に残るという。卒論のテーマには、野焼き管理が土壌に与える影響を選んだ。 熊本農業高校の卒業生でもある東海大九州の林田倫彦監督は「どれだけの球を投げ、どれだけの選手になるのか本当に楽しみ」とする。廣池さんの活躍もあり、来年も農業高校から入学を希望する生徒がいるという。 (小林千哲)
日本農業新聞