V型16気筒の怪物エンジンを積んだBMW! 「ゴールドフィッシュ」なんてあだ名が付けられた7シリーズの正体とは
ボディサイドのエラ型インテークから付けられたあだ名は「金魚」
さっそく、7シリーズの実車に搭載して走行実験を行ったのですが、今度はキドニーグリル裏にあったラジエターが邪魔でV16が収まらない。首脳陣の思惑は大ハズレだったわけです。しかも、V16の発する熱はハンパないものですから、フィッシャー氏は(911ターボにヒントを得たのか?)ラジエターをリヤトランク内に移設し、リヤフェンダー内に巨大なクーラントタンクを配置するという裏技を使うことに。 車体サイドにあけられた大きなダクトはまごうことなく冷却用で、ヒレのような形からゴールドフィッシュと名付ける所以となったとのこと。なお、フロントグリル裏には冷却ファンが残されていること、写真から確認できるのではないでしょうか。 実走テストはフィッシャー氏もドライバーとして加わり「4000rpmからエンジンが発するノイズが凄まじい」などとコメントを残しています。また、どこから引っ張り出してきたのか不明な6速MTで走らせると、0-100km/h加速が6秒、最高速は280km/hをマーク。ストックの750ilでそれぞれ7.4秒、250km/hというカタログ値ですから、これは切った貼ったした甲斐があるというもの。 ですが、V16エンジンがお蔵入りしてしまったのはご存じのとおり。BMWはメルセデス・ベンツとの「軍拡競争」には意味がないとしたことを公式発表しています。 また、メルセデス・ベンツはV12エンジン(M120)で400馬力越えを実現し、さらなるアップグレード(V16かどうかは不明)を企画していた様子ですが、BMWの動静を知ってか知らずか計画を中止したとのこと。 それでも、フィッシャー氏はのちに850CSiでもって380馬力をもたせることに成功していますし、マクラーレンF1に搭載された際には700馬力オーバーまでチューンされています。 ゲテモノみたいなV16エンジンですが、遺してくれたものは小さくなかったようです。
石橋 寛
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