タクシー事業を展開していた「関西中央グループ」の金融窓口、大日本交通事業協同組合(大阪)が破産
大日本交通事業協同組合(TDB企業コード:584024237、出資金300万円、登記面=大阪府大阪市北区堂山町15-2、代表理事藥師寺大思氏)は、7月9日に大阪地裁より破産手続き開始決定を受けた。 破産管財人には石井教文弁護士(大阪西総合法律事務所、大阪府大阪市中央区高麗橋4-4-9淀屋橋ダイビル2階、電話06-6208-8771)が選任されている。 大日本交通事業協同組合は、1973年(昭和48年)9月に設立。大阪府北摂エリアを主要営業区域とするタクシー事業を手がける「関西中央グループ」各社(当組合員)に対する事業資金の貸し付けなど同グループの金融部門を担っていた。 同グループは、北摂エリアを中心にタクシーおよびバス事業を手がけ、5000円超過分が5割引きになる遠距離割引(55割)を導入するなど、大阪都心部からの深夜帯の旅客需要を獲得。同業他社を次々と買収・合併させるほかグループ内での再編も行い事業規模を拡大させていた。また、JRや阪急電鉄の沿線各駅と公共交通アクセスの弱い住宅地や事務所、病院などを結び、市民の足としても重宝されていた。 しかし、2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛要請などの影響で収入が激減。新型コロナの5類移行後もタクシー需要の回復が鈍かったうえ、燃料価格高騰により採算が悪化していた。さらに、タクシー需要の回復後はドライバー確保に苦戦。2024年問題に伴う人件費高騰が危惧されるなど、経営の抜本的再建を求められる状態が続くなか、グループ全体で多額の公租公課を滞納するなど資金繰りがひっ迫。その間、金融機関からの返済猶予を受けるなど資金繰り改善に努めていたものの、2024年3月11日にはグループの茨木高槻交通(株)(TDB企業コード:580208595)など9社が大阪地裁へ民事再生法の適用を申請。その後、茨木高槻交通(株)をはじめとするグループ8社は事業を他社に譲渡し、4月30日に再生手続き廃止決定、5月31日以降に順次破産手続き開始決定を受けるなど当組合の役割が終了し、今回の措置となった。 負債は2023年7月期末時点で約58億円。 5月31日に大阪地裁より破産手続き開始決定を受けた組合員企業(7社)は以下の通り。 ・ユタカ中央交通(株)(TDB企業コード:582729377) ・関西中央第一(株)(TDB企業コード:582665565) ・大商交通(株)(TDB企業コード:584004806) ・東大阪中央タクシー(株)(TDB企業コード:582729368) ・関西中央旅客守口(株)(TDB企業コード:582662680) ・東大阪オーケー(株)(TDB企業コード:582755143) ・高槻交通(株)(TDB企業コード:582630158) 6月28日に大阪地裁より破産手続き開始決定を受けた組合員企業は以下の通り。 ・茨木高槻交通(株)(TDB企業コード:580208595) なお、同時に民事再生法の適用を申請していた関西中央交通(株)(TDB企業コード:586734473)については、自主再建の方向で再生手続きが進められている。