テックに温もりを ドット絵と木のスマートホーム機器 マクアケでプロジェクト進行中
「違和感があったんです。機械に話しかけるのではなく、素材に触れることで家をコントロールしたいと思ったんです」。 10月24日から2025年1月17日まで、応援購入サービス「マクアケ」でスマートホームコントローラー「muiボード」第2世代の販売プロジェクトを実行しているmui Lab(京都市中京区)。 muiボードは、ドット絵にすることで情報量を抑えている 共同創業者でクリエイティブディレクターの廣部延安さんは、「遠隔操作がスマートホームの価値として語られがちだが、そこは主軸にしていない」と強調し、muiボードで新たなスマートホームの在り方を広めようとしている。 mui Labは、17年に産業資材やデバイスなどを手掛けるNISSHA(同)の社内発ベンチャー企業として、muiボードの開発・制作のために設立。20年に初代muiボードを発売した。 muiボードは、木製のスマートホームコントローラーで、ボードを見れば家族で家の状態を共有できる。独自のIoTクラウドシステムを使いWi-Fi経由で家電とつながる。 本体のディスプレーは触れると明かりがつき、一般的なスマートホームコントローラーのように、接続している家電を操作できる。 muiボードは家族とのコミュニケーションの機会づくりに有効と考えた廣部さんは、メモ機能などを装備した。専用アプリと連携し、木材のタッチパネルディスプレー上で手描きメッセージを書いてアプリに送ったり、音声を録音して届けたりもできる。ボード上に、伝言メモとして手描きメッセージを表示する活用法もある。 加えて、接続機器の状態を把握して、家の状況がわかるようにした。「ボード上で家の中を模したアイコンを表示させ、利用者側と家の関わりを強める」(廣部さん)という狙いがある。 ボードに表示された気温を見て暑いと気づき窓を開ける行動に移すように、家庭内の家電を調整して快適な環境を整える後押しをする。 ドット絵の表示にすることで、わざと情報量を減らしていることもこだわりの一つ。廣部さんは「人が認知できる情報量は少ない。スマートフォンなどはマルチタスク化していて、人の注意を引き付けてしまう」と話す。 本体に薄く切った天然木を張り付けることで、光量も減らしている。木材ゆえに、製品組み立ての際に装置を使うと木が欠けてしまうことがあり、手作業にしている。「人の手をかけて組み立てていることで、温もりを感じる」(廣部さん)とし、完全機械化はしていない。