「対話なくして信頼なし、信頼なくして連携なし」 前尼崎市長・稲村氏 分断と対立を否定 兵庫県知事選
斎藤元彦前知事(47)の失職に伴う兵庫県知事選の投票が17日午後8時で締め切られ、これから開票作業が始まる。 【写真】兵庫県知事選に立候補した7人の顔ぶれ 10月8日に知事選への出馬を正式に表明した前尼崎市長の稲村和美氏(52)。市長退任後、政治の世界から身を引いたが、「県政の混乱と停滞をこのままにしておくことはできない」との一心で立候補した。選挙戦では自民の一部県議や立憲民主党、国民民主党の県連幹部らからの支援を受け、「対話と信頼なくして改革なし」と訴え続けた。終盤には県内29市のうち22市の市長からも支持を受けた。 奈良市出身。証券会社勤務や兵庫県議を経て、38歳だった平成22年に当時全国最年少の女性市長として尼崎市長に初当選。市長を3期務め、財政再建などに取り組んできた。 「あとから思えば、ここで自治に目覚めていった」と振り返る原点は、平成7年の阪神淡路大震災。避難所でのボランティア活動の経験から、市民のやりがいや主体性を重視する「市民派」としてのスタイルを築き上げてきた。 選挙戦最終日の16日は、神戸市内を集中的に回り、午後からは立民の国会議員も応援に入り、商店街を練り歩くなどした。イメージカラーのオレンジのタスキを肩からかけた稲村氏は、最後の演説の場に神戸市中央区のサンキタ広場を選択した。 集まった聴衆を前に、「対話なくして信頼なし。信頼なくして連携なし」とくりかえし、「兵庫県は多様だからこそ、違いを認め合い官民の枠も超えてみんなでつながる。すべてのことからしっかり学んで分断と対立じゃない、対話と信頼の兵庫県政をともに必ずつくっていけると思っています」と訴えた。