過酷日程を言い訳にしない千葉ジェッツの鉄人、ジョン・ムーニーの矜持「プロ選手としてコンディションを管理するのは当然のこと」
パトリックHC「若い選手にとって、最高のロールモデルだと思います」
今シーズンの千葉Jは、序盤からリーグ戦と並行した東アジアスーパーリーグ(EASL)を戦うタフスケジュールの影響もあって故障者に苦しめられてきた。しかし、ムーニーはその中でも欠場したのは数試合のみ。さらに出場した試合では30分以上のフル稼働が当たり前かつ、コートに立っている間は常にエナジー全開のハードワークで躍動する傑出したプレーを見せている。 EASLと天皇杯の2冠はムーニーの存在があってこそと言っても過言ではない。絶対的エースの富樫と同等の支配力を見せているムーニーだが、パトリックヘッドコーチは「もちろん試合のパフォーマンスは素晴らしいですが、コーチとして一番評価するのは、毎日の練習の努力とリーダーシップです」とオフコートでの振る舞いも絶賛する。 「明日のようなオフの日のトレーニングは自主参加ですが、ムーン(ムーニーの愛称)は、必ず来てウェイトとシューティング、ストレッチなどをやっています。若い選手にとって、最高のロールモデルだと思います」 ムーニーにこの点について聞くと、「コンディションを良い状態で保つためです。僕にはルーティーンがあり、それをしっかりと守ることで試合をフレッシュな気持ちで迎えられ、すぐにリズムに乗ることができます」と語る。 何より過密日程をパフォーマンス低下の言い訳には決してしたくないという、トップアスリートとしての強い矜持がムーニーにはある。「(試合翌日に)何もしないよりは、身体を動かす方がコンディション維持に良いです。スケジュールはタフですが、プロ選手としてしっかり管理するのは当然です。今夜はぐっすり寝て、明日もトレーニングを少しはやると思います」 そしてムーニーはフィジカル面に加え、メンタル面でもフレッシュな状態にあると続ける。「僕たちはタイトルについて、まだハングリーです。すでに2つ獲得していますが、メインの目標はリーグタイトルで、今はそこにフォーカスしています。もちろん昨年のファイナルで敗れた悔しさは、まだ胸に残っています」 今の千葉Jは、東地区首位の宇都宮ブレックス、2位のA東京と大きなゲーム差があり、順位をひっくり返してCSのホームコートアドバンテージを得るのは非現実的かもしれない。だが、レギュラーシーズンの成績は劣っていても、現時点のチーム力で宇都宮、A東京と同レベルにあるのは間違いない。ムーニーがこのままハイパフォーマンスを継続している限り、リーグ優勝による千葉Jの3冠達成は十分に可能だ。
鈴木栄一