永田町が恐れる「石丸新党」の青写真。大旋風を巻き起こした男が次に殴り込むのは!?
■評価は真っ二つ 見事な選挙戦が絶賛される石丸氏だが、政治家としての評価は真っ二つに分かれる。熱狂的なコア支持層が形成され、政界のニューリーダーとして多方面から期待される一方で、「キャラが怖すぎる」「公人になるべき人ではない」などと、批判の声も絶えない。 石丸批判が噴出するきっかけとなったのは選挙特番など、一連のメディア出演でのこわもてぶりだった。他の出演者からの質問を「なんという愚問」「前提のくだりがまったく正しくない」と切って捨てたり、真正面から答えずに冷笑したり。その塩対応ぶりに「想像していた人柄とずいぶん違う」と拒否感を示す人は少なくない。 元自民党衆院議員で「政治団体赤字黒字」の代表を務める安藤裕氏が言う。 「政治家が熱狂的な支持を集めるのに、ひとつのパターンがあります。大衆が日頃から悪者と思っているわかりやすい敵をぶった斬り、正義の役を演じる。その小気味よさに大衆が熱狂する。 『恥を知れ!』などの過激な物言いで安芸高田市議会を叩き、注目を集めた石丸さんはまさにこのパターンに当てはまります。小難しい政策論議を避け、わかりやすいメッセージを繰り返し、大衆を考えさせないようにするのです。 都知事選でも石丸さんは政策を語らず、政治を変えようという短いメッセージを繰り返すだけ。それだけですでにSNSで洗脳され、熱狂している大衆には十分なのです。しかし、その『考えさせず、熱狂させる』やり方は古今東西の歴史が示すように、とても危うい政治手法です」 その先に待つのは「熟議なき政治と独裁だ」と、安藤氏は警告する。 「二元代表制の地方自治では、首長と議会が意見の違いがあっても熟議し、同意できる地点を見つけないといけない。しかし石丸さんはハナから熟議を拒否し、ひたすら議会を責め続けた。残るのは分断と対立です。 石丸さんはメディア攻撃にも熱心で、中国新聞の特定の記者をつるし上げていました。こうなるとメディアも萎縮し、質問をしなくなる。この状態が続くと、やがて権力者である市長に迎合する議員やメディアが出てきて多数を占めるようになる。 その先に待つのは独裁です。絶対的な権力を手にした市長に逆らう『抵抗勢力』は、熱狂した大衆の力も借りて徹底的に弾圧されるでしょう。石丸さんの台頭はとても危険な兆候だと私は考えています」 前参議院議員でジャーナリストの有田芳生氏もこう言う。 「石丸さんを見ていると、既得権益との対決姿勢を鮮明にし、頭角を現した橋下徹元大阪市長を彷彿とさせます。ただ、橋下さんにはどこか愛嬌があった。 その点、選挙特番で元乃木坂46の山崎怜奈さんなどに見せた石丸さんの対応はただただ怖かった。嫌な人、面倒な人、危ない人という印象は免れない。あの振る舞いはどう見てもしくじり。妥協点を見いだすのが政治。対決姿勢だけでは続かない。割と早くメッキが剥(は)がれてしまうかもしれません」 その後も石丸氏は『グッドモーニング』(テレビ朝日系)の単独インタビューで山崎怜奈さんへの対応を問われ、「女子供に容赦するっていうのは優しさじゃないと思っている」「(頭)ポンポンってしてあげるのが良かった?」、さらには『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ系)でも少子化対策として「一夫多妻制を導入するとか、遺伝子的に子供を生み出すとか、そこまでやらないと人口減少は止まらない。どう考えても無理です」と答え、さらなる炎上を引き起こした。 絶賛と批判。相反する採点が渦巻く中、多くの人々が石丸氏の評価を測りかねている。