【カブガールが行く】四国の酷道「国道494号」で霧の中をツーリング
霧に包まれた黒森峠
国道494号、続いてのお目当ては、この道一番の酷道区間と言われている『黒森峠』です。山の中を縫うように作られたその形状は、まるでミミズが這ったよう。15kmほどの短い区間の中にヘアピンカーブ、路面の荒れ、崖っぷちの挟道といった酷道のエッセンスがギュッと詰め込まれた道なのです。 久万高原町の集落を抜けると、さっそくその洗礼が始まりました。路肩に重機が停めてあるかと思ったら、そのすぐ隣にギッシリと積み重ねられていたのは…大量の杉の木と枝です! 路肩は伐採後の廃棄物の仮置き場になっているようで、雨に湿った木の皮からはいい香りがします。よく見ると周辺には林道への入り口がたくさんあり(一般車両は進入禁止です)、国道沿いとは思えないほどに林業が盛んな地域なのでした。 そして左右を杉林に囲まれながら走ることわずか5分ほど、標高が上がるにつれて、周囲には霧が出始めました。 見通しの悪い峠道で、さらに視界まで悪くする霧。通常の旅行中であれば「最悪な日に来てしまった」と思うところかもしれませんが、酷道を堪能するためにやって来た筆者にとってはそれほど大きな問題ではありません。 唯一、周囲の景色が見えないところは残念でしたが…もともと黒森峠は景観がそれほどよくはなく、鬱蒼とした山の中を通るタイプの道です。むしろおどろおどろしい雰囲気が増してよかったのかもしれませんね。 黒森峠の頂点付近まで来ると、霧は一層濃くなり10m先を見るのにも苦労するほど。そんな中で右へ、左へと激しく道がカーブするのだからスリルは満点です。 もちろん臆病な性格の筆者は、時速20~30kmほどのペースでゆっくりトコトコと走行しました。交通量は少ないですが、曲がりなりとも国道。カーブの先から対向車が迫って来る可能性は十分あるのですから! …とはいえ、今回酷道区間を走行している間にすれ違った車両はゼロ。酷道が酷道である所以を感じつつも、山を下って街に着いたところで今回のツーリングは終了しました。 国道494号の酷道区間は、合計30kmちょっとと短いながらも酷道エッセンスがギュギュっと濃縮。挟道や林道の雰囲気を味わって山深さを体感できながらも、路面の荒れ・落ち葉・落石などは中ぐらいのレベルであることから、酷道初心者の方にもおすすめできる道だと感じています。 ただし標高や天気の関係から、今回のように霧が出る可能性があります。慣れない方は晴天の日をオススメすると同時に、慣れている方であっても土砂崩れなどの危険があるため、激しい雨天の日は絶対に走行しないようにしましょう。 文/高木はるか アウトドア系ライター。つよく、しぶとく、たくましくをモットーにバイクとキャンプしてます。 愛車はversys650、クロスカブ110、スーパーカブ90。 高木はるかの記事は下記のサイトから https://riding-camping-haruka.com 編集/inox.
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