B-net/yamagataに13人新加入 社会人野球に憧れた22歳が、縁もゆかりもない山形の地で見た「最高の景色」
しかし、大学4年になった昨年は相次ぐケガに見舞われ、まともにプレーすることができなかった。社会人チームのトライアウトを受験することもできず途方に暮れていた折、手を差し伸べてくれたのが、SNSで通じ合ったB-net/yamagataだった。内田は昨秋、「一秒たりとも迷わず」新幹線に飛び乗り、縁もゆかりもない山形へ直行した。 社会人野球にこだわる内田にとって、きらやか銀行硬式野球部は憧れのチームの一つ。きらやか銀行時代の練習施設がそのまま残る環境に感動し、すぐに入団と山形での就職を決断した。「自分一人では試合に出場する状況はつくれなかった。1年前には想像もつかない、最高の景色を見ることができました」。紆余曲折があったからこそ、“社会人デビュー戦”は特別な一戦になった。 目指すは都市対抗と全日本クラブ選手権の舞台。内田は力を込める。「僕はそのために来た。自分だけの野球ではないので、多方面への感謝を結果で表したい。言葉の通り、すべてをかけています。本音を言えば、僕の体はどうなってもいいのでとにかく勝ちたいです」。
医師目指す二人が再びチームメイトに
金原広汰投手(24)と齋凌矢投手(24)は仙台一高硬式野球部、山形大医学部準硬式野球部でもチームメイトで同期だった。二人は大学時代、5年秋に創部初となるリーグ優勝に貢献。ともに今春大学を卒業し、山形県内の病院で研修医として経験を積みながら硬式野球を継続する。 山形大戦では齋が6回、金原が7、8回に救援登板。硬式球と準硬式球の違いに苦戦しながらも、齋は三者凡退に仕留める好投を見せ、金原も7回こそ3点を失ったものの8回は修正能力を発揮し0に抑えた。
金原は大学在学中から「肩が上がらなくなるまで、体が動くうちは野球をやる」と意志を固めており、医師国家試験が終わってすぐに体験練習に参加して入団を決めた。一方の齋は6年春の早い段階で故障して納得のいく大学ラストイヤーを送れなかったことから、野球を続ける道を模索。偶然にも、二人はまたしても同じチームでプレーすることになった。 齋は高校、大学と絶対的エースだった金原に劣等感を抱き苦しんだ時期もあったが、今は「特別な対抗意識はない」と話す。ただ、「大学5年秋に初優勝した時のように、また二人で凄いことを成し遂げたいという希望は持っています」と熱い思いは胸に秘めている。