プロ熱視線…関東&関西勢ボランチに「負けていない」 名門国立大から狙う“2人目のJリーガー”
「覚悟を持って広島大学に来て一歩ずつ前に進んできた自信はあります」
もちろん、文武両道の末にプロの道が約束されているわけではない。関東や関西、九州の大学サッカーと比べると中国地区の大学サッカーはレベルも差があり、スカウトなどの目も届きづらいのは事実としてある。だが、そこも覚悟のうえでの決断だった。 「デンソーチャレンジカップで選抜に入ったり、総理大臣杯やインカレに出場できたりすれば見てもらえるチャンスはある。環境を言い訳にせずに、ここから上に這い上がっていこうと腹を括ることができました」 広島大サッカー部からJリーガーになったのは、長い歴史の中で村上一樹(元FC岐阜、現・アユタヤ・ユナイテッド)の1人のみ。しかもそれは2010年の出来事で、もう13年もの歳月が経とうとしている。 「いないならば、自分が何十年ぶりのJリーガーになればいい。その気持ちでいます」 その結果が前述した躍進だった。だが、今年は大きな壁にぶち当たっている。6月に右足首の前側の距骨にネズミ(軟骨や骨の欠片)が出来、軟骨を削ってしまっていることが判明して除去手術を行った。秋に復帰したが、「すぐには万全にはならないと医者から言われていて、完全に違和感が消えるまでは1年近くかかるようです」と口にしたように、3年連続で迎えたインカレもスタメン出場を続けたが、ベストなパフォーマンスは出しきれなかった。 それでもセカンドボールの回収やボールを集約してパスで散らす技術は光るものを見せたが、大会を通じて自分のプレーに納得がいかない歯痒い時間を過ごした。 「正直、違和感はまだ残っていて、どうしてもセカンドボールの予測やスペースの察知などが出来ていても、身体が思うようについてこないシーンが多々ありました。この大会は僕ら地方の大学にとっては見てもらえる貴重な舞台だからこそ、3年生でこの出来は歯痒さが残ります」 すでにJ3クラブの練習に参加し、ほかにもJ2クラブから熱視線を送られている。目の前にチャンスは転がっているだけに、今は焦らずに自分のコンディションを上げて、これまでやってきたことを信じて地道に積み上げていくしか道はないと、彼自身理解している。 「覚悟を持って広島大学に来て、今泉監督の下で一歩ずつ前に進んできた自信はあります。関東や関西で活躍する同級生のボランチには負けていないと思っていますし、名古屋グランパス入りが内定した筑波大の加藤玄選手や、明治大の島野怜選手などの存在は大きな刺激になっています。まずは自分のコンディションにしっかりと向き合って、自分を信じて、土台を築きながら積み重ねていきたいと思います」 努力は裏切らない。自分の覚悟はそんな柔なものではない。名門国立大学からJリーグへ。彼はひたすら信じて歩いてきた道を突き進む。
FOOTBALL ZONE編集部