イクイノックスの元担当者も大絶賛のクリスマスパレード 成長力にも長けた血統背景で更なる飛躍へ
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆血統で振り返る紫苑S 【写真】クリスマスパレードのこれまでの軌跡 【Pick Up】クリスマスパレード:1着 ノーザンファームで1歳時からこの馬にまたがっていた古賀慎太郎さんは、同じキタサンブラック産駒のイクイノックス担当でもありました。もちろん、どちらもベタ褒めで、クリスマスパレードについては「柔らかさ、素軽さは今まで乗った馬でもトップだと思います。軽く走って14秒を切って力感もなく動けています」と、2歳6月の段階で自信満々でした。トレセンに入厩後、加藤士津八調教師も絶賛していたようです。 今回、5番人気での重賞初制覇でしたが、この馬に関わってきた方々にとっては、さほど意外性はなかったのではないでしょうか。これまでに出走したキタサンブラック産駒の牝馬のなかでは一、二を争う素質馬でしょう。 母の父ブレイムは、アメリカのBCクラシックにおいて、女傑ゼニヤッタ(通算20戦19勝)に生涯唯一の黒星をつけた馬です。種牡馬としては仏オークス馬センガ、本邦輸入種牡馬ナダル(アーカンソーダービー)などを出しており、ロベルト系らしい成長力と底力に特長があります。ひと夏を越してグンと成長してきましたが、まだまだ強くなる余地を残しています。秋華賞でも好勝負が見込めます。 ◆血統で振り返るセントウルS 【Pick Up】トウシンマカオ:1着 父ビッグアーサーは高松宮記念とセントウルSの勝ち馬。セントウルSは親子2代制覇となります。高松宮記念はミッキーアイルを破ってレコード勝ち(1分06秒7)しました。 父系をさかのぼると1967年に輸入されたテスコボーイに到達します。ここ半世紀あまりの間に、数えきれないほどの種牡馬が輸入されましたが、テスコボーイ系は「スピード」という一芸に賭け、生き延びてきました。2代父サクラバクシンオーは1400m以下で12戦11勝。スプリンターズSを2連覇したほか、ちょうど30年前のスワンSで、日本競馬史上初めて芝1400mで1分20秒の壁を破りました(1分19秒9)。同馬はキタサンブラックの母の父でもあります。 3代父サクラユタカオーは、1800mと2000mで日本レコードを樹立。時計勝負に強い、というのがこの系統の特長で、サクラユタカオーと同じくテスコボーイを父に持つトウショウボーイは、芝1600mと芝2000mの日本レコードを樹立しました。 トウシンマカオの母の父スペシャルウィークは、エピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリアの三兄弟や、ディアドラ、ジュンライトボルトなど、ブルードメアサイアーとして定評があります。 トウシンマカオの出現によってテスコボーイ系はまだまだ伸びていく可能性が高まりました。