女性問題で辞任する日本企業の社長が増加中…私生活を管理できない経営者に「欠けているもの」
近年、女性問題で辞任に追い込まれる上場企業の経営者が増えている。企業のガバナンスが強化されたと見ることもできるし、ネットの発達でスキャンダルが拡散しやすくなっただけとも解釈できる。一部かはら「やり過ぎ」といった声も出ているようだが、私生活のリスクを管理できないようでは、上場企業の経営者として能力不足であることは明らかだ。こうした形での辞任が増え、トップの選別が進むことは、日本の企業社会にとって悪い話ではない。 【写真】「年収1000万円」あった63歳大企業社員の「エグい給与ダウン」
企業のコンプラ意識は高まっている
イオン傘下のドラッグストア大手「ウエルシアホールディングス」は2024年4月17日、社長の松本忠久氏が辞任したと発表した。理由は私生活での不倫関係が確認されたことだとしている。 2022年8月に石油元売り大手の会長が、高級クラブで女性従業員に性暴力を行ったことが発覚して辞任したほか、2023年8月には光学機器メーカー社長が愛人を出張に同伴させていたなどの理由で辞任に追い込まれている。上記の石油元売り会社は2023年にも社長が女性に対する不適切行為で辞任しており、2年連続で女性問題によるトップ交代となった。 これまでの日本社会はコンプライアンスの意識が薄く、セクハラやパワハラなどが表面化するケースは少なかった。加えて、私生活の言動と会社の仕事は別という感覚が根強く残っていたこともあり、仮にセクハラや女性問題が取り沙汰された場合でも、内密に処理され、表向きは一身上の都合での辞任にとどまっていた可能性が高い。このため、近年になって、女性問題で辞任する経営者が本当に増えたのかは、何とも言えない部分がある。 ただ、企業のコンプライアンス意識は確実に高まっており、多くの企業が内部通報制度などを整備し始めている。上記ケースでも内部通報が機能したケースがあるので、それなりに効果を発揮したともいえるだろう。加えて、社外役員が増えていることも一連の決断を後押ししていると考えられる。