103歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんが機嫌よくいられる合言葉は「仕方がナイチンゲール」
広島県尾道市で一人暮らしをしている石井哲代さんは、現在なんと104歳! 2023年にはその暮らしぶりをまとめた書籍が感動を呼び、一躍全国の人気者になりました。今回ご紹介する『103歳、名言だらけ。なーんちゃって 哲代おばあちゃんの長う生きてきたからわかること』は、その続編となる一冊。「体は思うように動かんけれど、心だけは自由です」と語る103歳(出版時)の哲代おばあちゃんが、一人暮らしで機嫌よく生きるためのコツについて、本書から特別に一部抜粋してご紹介します。
103歳、一人暮らし
103歳になったころに二度入院したんです。足の感染症やら、関節の痛みやらが出てしもうて。合わせて50日ほど病院におりました。入院中はしんどかったですけど、一人暮らしを終えようとは思わなんだねえ。 退院後、1ヵ月ほど姪の弥生さん(坂本弥生さん、70歳)の家でお世話になりました。お姫さんのように大事にしてもろうて極楽みたいな所です。家族がようけおって、いつもいろんな声がしてにぎやかでね。朝は小学校に行く幸(こう)ちゃん(弥生さんの孫の幸之介さん)の「行ってきまーす」って声が聞けるのもいい。 でもやっぱり自分の家がええんですねえ。手足を思い切り伸ばせるいうんかな。いくら弥生さんと私の仲でも無造作に勝手なことはできんから、私でもちょっとはよそ行きな感じになるんでございます。なーんちゃって。 それに、家で待っておられる仏さん(仏壇)を早う掃除せんといけんと思うたりもしてねえ。ほこりが重たいぞってご先祖さまが怒りよってんじゃないかなんて想像する、気が急いてしまって。こう見えて、家の主(あるじ)でございますから。 いろんな人に助けてもろうて、支えてもろうての一人暮らしです。今は週に3回、デイサービスに行かせてもらっとります。ヘルパーさんに来てもらう日も増やしました。姪たちやご近所さんも様子を見に来てくれる。じゃが、してもらうんが当たり前になっちゃいけんといつも思うとります。自分も何か返せたらなあ。何ができましょうかなあ。
撮影/井上貴博、鈴中直美、 木ノ元陽子、大川万優、 坂永弥生、文藝春秋 構成/金澤英恵