歴史的円安・物価高…GWスタート 節約、近場でワクワク 福島県内各地にぎわう
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行してから初のゴールデンウイーク(GW)が27日に始まり、福島県内の観光地は多くの人でにぎわった。円安や物価高で節約志向が強まっており、近場の旅行が人気の傾向。福島空港―台湾のチャーター便運航の効果もあり、台湾などから多くのインバウンド(訪日客)が訪れている。 オープンから2年を迎えた福島市大笹生の道の駅ふくしまでは、多彩なイベントが繰り広げられ、来場者の笑顔があふれた。駐車場には宮城や宇都宮など隣県ナンバーの車が目立った。担当者によると、昨年同時期よりも人出は増えているという。 長引くガソリン価格の高騰に物価高が加わり、今年のGWは旅費を抑え、近場の観光地が人気となっている。さらに歴史的円安が海外旅行の動向に影響している。 会津若松市の鶴ケ城公園では、県内外から訪れた大勢の家族連れらが新緑に映える天守閣を背に記念撮影する姿が見られた。盛岡市の主婦藤村信子さん(68)は「今回は近場で楽しめる場所を選んだ。夏にはアジアへの海外旅行を予定しているので、円安の動向は気になる」と話した。
会津若松観光ビューローによると、大型連休初日の人出は昨年同時期とほぼ同規模だった。鶴ケ城公園の来訪者は27日午後6時時点で約4500人。台湾や欧米などからの来訪が増えており、ビューローの担当者は「円安による訪日客の増加が期待できる」と話す。 県内の旅行代理店によると、昨年のGWと比べ、国内旅行の申し込み件数は増えた一方、海外旅行では現地での食費も高額となるため売れ行きは伸びていない。鏡石町のジャパン旅行サービスによると、首都圏や関西圏へ向かう旅行商品の売れ行きが好調だという。 ■訪日客増加続く 福島空港と台湾を結ぶ定期チャーター便の運航を受け、下郷町の大内宿でも訪日客が増加傾向にある。町によると、訪日客は今年は1月から3月までで5750人と、わずか3カ月で過去2年の入り込みを超えた。 GW中も多くの観光客が訪れる見通しで、観光協会の湯田盛雄会長(66)は「期待に応えられるよう手厚くおもてなししたい」と話した。