ロシアのウクライナ侵略、アメリカ大統領選などで人気が高まる世界の地図の本……ガイド本で有名なあの出版社も人気シリーズ
エネルギーや人口問題、経済格差など、世界を取り巻く状況を様々な角度から伝えるユニークな地図の本が最近、目立っている。グラフや図表の組み合わせ方も、工夫されているのが特徴だ。地球上で起こる様々な出来事は密接に絡み合っていることが、視覚的に伝わってくる。 【表】一目でわかる…ロシアの戦力はウクライナを圧倒している
経済・食料・宗教 視覚から
日本や西欧とアフリカ諸国の違いが対照的な人口に占める65歳以上の割合。北アフリカや中東の少なさが際立つ1人当たりの年間淡水使用量。アフリカに集中する食料不足の国々――。
今月刊行されたパスカル・ボニファスら著『地図で見る最新世界情勢』(原書房)は、100点の地図やデータからテーマ別に世界の今を伝え、分かりやすい。
書店では、奥山真司監修『サクッとわかる ビジネス教養 新地政学』(新星出版社)などと並ぶことが多い。2022年から続くロシアのウクライナ侵略の影響もあり、出版界は大陸国や島国などその国の地理的条件と国際政治上の関係を考察する地政学の本が人気を集める。この点も、地図人気につながっている。
事典や図鑑、地図類の出版が多い柊風舎は、『ロシア地政学地図』などを出版する。同社は、「訳者は専門的な用語や歴史的な背景を知る必要があり、大変です」と語る。『地図が語る 感染症の歴史』はパリ周辺の貧困率の高さと新型コロナの死者数を図で比較し、示唆に富んでいる。
国内のオリジナルの本では、地図や観光ガイドで知られる昭文社の「地図でスッと頭に入る」シリーズが存在感を誇る。「地図をいかした面白いエンタメ性の高い読み物を企画したい」(編集部)と19年に刊行を始め、現在までに「世界の三大宗教」「世界経済」など35点を刊行した。「わかりやすく見やすい地図、図版、イラストを活用した誌面作りが最大のポイントです」と説明する。