ロシアのウクライナ侵略、アメリカ大統領選などで人気が高まる世界の地図の本……ガイド本で有名なあの出版社も人気シリーズ
ヒット作は、『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』だ。ノースカロライナ州やミネソタ州など州ごとに地理や政治、社会、経済、文化などを解説する。大統領選があった20年に刊行後、増刷を重ねて今夏に改訂新版を出した。累計7万3000部に達する。
2大政党制や大統領選の仕組み、銃規制問題など具体的な事項の説明も充実しており、選挙に向けて手元に置きたくなる。
古地図の美に魅せられて
建築史や都市史を東大やスイス連邦工科大の大学院で学んだ翻訳家の東辻賢治郎さん(46)=写真=は、エッセー集『地図とその分身たち』(講談社)を出版した。学生時代に海外の古地図の質感や手触りにひかれたという。
特に神秘的な美しさを感じたのは、留学先のスイスの地形図です。デジタル以前の手書きの時代のもので、いかに色をつけて、高山や氷河などを表現するか工夫されていました。
地図は見ることで、その場所やそこに住む人のことを思う場所への入り口になります。世界の見方を規定してくれます。
現在は、様々な地理的なものに関するデジタルデータが公開され、普通の人も触れられるようになりました。パソコンのソフトで表計算をするように、地図の生データを扱うことが増えるかもしれません。でも技術が進んでも、地図が世界を認識するために作られている以上、人間との関係性は変わらないと思います。