「SNSで情報操作行われた疑い」ルーマニア大統領選めぐり欧州委が調査、TikTokにデータ保全命令
【ブリュッセル=酒井圭吾】欧州連合(EU)の執行機関・欧州委員会は5日、11月下旬のルーマニア大統領選の1回目投票を巡り、SNSを駆使した情報操作が行われた疑いがあるとして、TikTok(ティックトック)に関連データの保全命令を出したと発表した。EUは本格的にSNS上の不正行為に対する調査に乗り出す。 【動画】TikTokで今年流行したのは「Giri Giri」
11月24日の1回目投票では、親露派で急進的な右派勢力のカリン・ジョルジェスク氏が首位となった。SNSを駆使した選挙戦で、劣勢だった情勢をひっくり返した。欧州委は「(右派を勝利させたい)ロシアの干渉があったとの情報もある」と指摘している。得票は過半数に届かず、12月8日に上位2人による決選投票が行われる。
ロイター通信によると、ルーマニア治安当局は4日、TikTokでの有料広告などを通じてジョルジェスク氏の宣伝が広範に展開されていたとする機密文書を公開した。
保全命令について、欧州委のヘンナ・ビルックネン副委員長(デジタル問題担当)は5日の声明で「組織的な不正行為の証拠が浮上している」と説明した。事業者に「偽情報」の拡散防止を義務づけるデジタルサービス法(DSA)に基づく調査で、違反が認定されれば、TikTokに巨額の制裁金を科す可能性がある。