「あの子持ち様が、ついにボケた」と笑われ…マミーブレイン症候群の「深刻な実態」
2023年の合計特殊出生率が1.20と過去最低を更新したことに関し、政府は 「若年人口が急激に減少する30年代に入るまでの6年間がラストチャンス」などと警鐘を鳴らしている。 これに対し、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は、「口で言うのは簡単ですが、共育てする男女の生活実態を理解しての発言なのでしょうか」と批判的だ。 「そもそも産後の女性は心身の疲労や睡眠不足によって『マミーブレイン』状態となるケースも多く、条件さえ整えば産前同様に働けるでしょ?ということではない実態も知っておく必要があります。 マミーブレインの特徴は、思考力や記憶力が低下したり、ぼんやりしがちになったりする、など。一人で悩みを深めていけば、心身にさらなる悪影響が及ぶ懸念もあります。 こうした実態について、ご本人が一人で悩みを抱えず前向きに過ごし、なおかつ不公平感なく職場が回るよう対策を進めなければ、いつまでたっても産みやすい社会にはほど遠いでしょう。また、全国的に大学まで学費の心配なく育児ができるような大胆な施策も必要なのでは?」 ・・・・・・・・・・・・・・・ 産後の仕事や育児について、本音でお悩みをお聞かせくださる方を探した。今回取材に応じてくれたのは、通常の産休・育休を経てこの春職場復帰した野田小雪さん(仮名/35歳)である。
人口100万超都市で中堅企業の支社に勤務する小雪さんは、「育児だけでも気が変になりそうなのに、職場で役に立てない。もう仕事をやめたい」とかなり追い詰められている。 「私は所属が総務ということもあり、休業前と仕事の内容そのものはさほど変わっていません。ですが、休んでいる間に新しいツールが導入されていて、まずそれに慣れるのが大変でした。 そもそもPC操作自体もびっくりするほどスムーズにできなくて、ブランクって恐ろしいなと毎日びくびくしています」 以前は考えなくてもできていた作業さえスムーズにいかない場合もあるのだそうで……。 「メールの管理や返信といった、ほぼ何も考えずにできていた業務でもバカみたいなミスをしてしまいます。焦りがまたさらなるミスに繋がって悪循環。そういう日が本当に多いんです。後輩にもポンコツだと思われてるんだろうなって思います。いや、絶対に思われているハズです。子供を産んで頭が悪くなったって…」 ちょっとしたミスが重なり、業務スピードはダダ落ち。周囲の社員のフォローはありがたいが、励まされると余計につらい。周りとのコミュニケーションやちょっとした会話など、前は普通にしていたことに対しても想定外のストレスを感じている。 「赤ちゃんとマンツーマンの1年を過ごしていたせいか、うまく社会人モードに戻れなくて。でも、周りは皆さん寛容です。ブランクがあるんだからできなくて当たり前、失敗しても『大丈夫、こっちでやっておくよ』などと声をかけてもらえて本当に優しいんです。 ありがたい反面、本音では『休んだ挙げ句、職場のお荷物になってんじゃん』と思われているような気がしてしまいます。自己嫌悪がひどくてつらい。自制できないほど思考がネガティブになっていて、他人の優しさを素直に受け取ることができません」 こうした心の状態を帰宅後夫に話すと、贅沢だと言われる。 「最近は子持ち様呼ばわりでイビられる産後女性だっているらしいのに、周囲が優しくサポートしてくれるなんて、めちゃいい職場じゃん。贅沢言ってちゃダメ、と」 正直な気持ちを話したのに否定され、本音を話す相手がいない小雪さん。相変わらず職場では毎日のようにミスを連発して自己嫌悪続きだ。また、満足な戦力になれていないにもかかわらず、保育園からはしょっちゅう呼び出しの電話がかかってくる。 「最近になって子供の発熱が増えました。先日は発熱で早退後、結局2日続けて休みを貰ってしまって、申し訳なくて。焦るし不安だし」 焦っているのはご本人だけで、誰も小雪さんを責めることはないという。 「夫も家事や育児をそこそこやっている方です。でも、私には仕事も育児も何一つ『ちゃんとできている』という実感がありません。夫が言うように、私は恵まれているんだから、不満を言ったら罰があたるんでしょうか?」 ――小雪さんを苦しめているのは、産後不調と会社の急な休み・早退だけではない。彼女を追い詰めているものの正体は何なのか。記事の後半で詳報する 取材/文 中小林亜紀
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